原発に頼らなくても日本は成長できるの書評・感想

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原発に頼らなくても日本は成長できる

はじめに

ここまで冷静に現在の原発状況や未来を書いてる本はあっただろうか。原発の議論といえば、「命をとるのか、金をとるのか」に結局のところ終始している。その中で誰もが言う。「代替エネルギーが重要だ」と。しかし、最も重要なその部分の議論が行われることはほとんどない。なぜなら、しっかりとした現実案が言えないからだ。だから、原発問題はいつまでたっても解決への道が見つからないのだ。

筆者は違う。「第三の現実解を見出していくことが先決だ」と述べているように、新エネルギーを考えることにより、エネルギー転換の機会を活かして、経済への成長につなげていこうとする。その主張をするためにも、原発の合理性を、数多くのデータをもとに検証し、メリット、デメリットを見たうえで、第三の選択肢があることを提案している。これが、新たな市場の台頭と経済、社会の発展につながるということを、ただの言葉だけの提案に終わらず、理論的に説明されている。

目次

本書の場合、目次を見るだけで内容の良質さがうかがえるので、少し長くなるが、載せる。
第1章 複合震災がもたらした安全神話の崩壊
1 災害の性格を変えた福島原発危機
2 安全システムの未熟性を晒した原子力発電
3 資源活用の原則は「何も足さない、何も引かない」

第2章 原発は「安くて安定供給できる」電力なのか
1 火力に劣る原子力の採算性と経済性
2 価格、供給システムの効率性を検証
3 環境性でも意義薄い原子力発電
4 経営転換を迫られる原子力発電ビジネス

第3章 原発に頼らないエネルギー政策を実現する
1 火力活用で連続性ある転換を実現
2 発送電の分離・自由化で市場の効率化を促す
3 将来性の高い自前代替エネルギーへの転換

第4章 持続的成長パスを描くための基盤づくり
1 一億総ざんげでは何も生まれない
2 産業の情報化を軸に企業ガバナンスを修復
3 需要重視の金融・財政政策でデフレの遺産克服

第5章 電力制約と財政制約を受けない日本復興策
1 電力制約の回避で不確実性の増殖を阻止
2 国債増発や消費税増税は拡大復旧への足かせ
3 拡大復旧のカギは貯蓄活用にあり

第6章 エネルギー転換を軸に新たな経済成長へ
1 新成長パスへの移行を促すグリーン化需要の拡大
2 地域再生に向けた地産地消のエネルギー政策
3 電力制約なき地球共生の成長パスで「日本復活」

経済成長のためには

最も重要な部分だと思うのが、やはり第5章、6章だろう。

新エネルギーの活用にまだまだ時間がかかるのは、誰もが知っての通りだ。では、活用することができるまでの間、原子力が批判を浴びる中、どうすればいいのか。
火力の活用を当面の代替とするのが現実的だとしている。火力を「原子力抜きの転換への過渡期のエネルギー源、そして再生可能な次世代エネルギー源を主体とする体制につなぐエネルギー源と再位置づけすることだ」としている。もちろん、本書には具体的な理由をデータを使いつつ示している。電力自由化の促進で、資源の無駄づかいを減らし、電力の安定供給を強化する。どれも読んでいて「はったり」だとは思えないほどの根拠がある。

是非読んでほしい。一番の理由は、これだけの膨大なデータをまとめ、さらに著者の冷静かつ、客観的な解説が加わっているからだ。基礎的なことから解説しているので、原発問題をもっと知りたい人にもお勧めだ。

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