一極集中にあっても農山村は生き残り続ける。

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農山村は消滅しない (岩波新書)

「市町村消滅論」という議論がまことしやかに流れてきており、本書でもそのことに対する批判を行っている。もっとも首都が東京に移った後から、東京の人口が増え、大東亜戦争後には東京一極集中が発生し、年々拍車をかけている状況にある。拍車がかかっている状態になった時に出てきたのが「市町村消滅論」である。

きっかけは2013年の9月に「東京オリンピック」が2020年に開催されることが決定したのを機に、一極集中がさらに拍車がかかり、地方は消滅してしまうのではないかと悲観したことから生まれた。いわゆる極論の一つなのだが、その発生源が元岩手県知事・元総務大臣の増田寛也氏が「増田レポート」として出てきた。また翌年の6月には「地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減」という本が出版されたことにより、「市町村消滅論」の拍車がかかった。
本書はその議論について農山村に悪影響を及ぼしていることを懸念し、反論している一冊である。

第Ⅰ章「農山村の実態―空洞化と消滅可能性」

地方では過疎化が進んでいるのだが、中でも農山村は顕著であり、消滅の危機に瀕している所もあるのだという。本章では農山村の中でも「集落」がいかにして限界集落(共同体として維持が難しくなっている集落)となるのか、そして消滅する可能性について取り上げている。

第Ⅱ章「地域づくりの歴史と実践」

過疎化している地域の中には「地域づくり」、ないし「地域活性化」と呼ばれることを計画・実行しているのだが、むしろ最近では「地域づくり」が広がりを見せている。
さて本章ではそういった「歴史」についても取り上げられているが、「地域づくり」という言葉・概念が使われ始めたのは1970年代からであるという。

第Ⅲ章「地域づくりの諸相―中国山地の挑戦」

地域づくりはどのように行われているのか、本章では中国山地を中心に取り上げており、中でも山口県山口市・岡山県津山市をモデルケースとして取り上げられている。

第Ⅳ章「今、現場には何が必要か―政策と対策の新展開」

「市町村消滅」に立ち向かうための「地域づくり」について地域ごとに行われているのだが、その現場の中でどのような対策が必要なのか本章では行政的な観点から取り上げている。

第Ⅴ章「田園回帰前線―農山村移住の課題」

首都圏に住んでいる方々が農山村に回帰している方もおり、私自身も雑誌・ネットで知った程である。自分自身も農山村ほどではないものの、故郷も地方であるため、そこに帰りたい願望を持っている。その要因として首都圏で働いていて身も心もボロボロになったのを癒すため、あるいは自分自身のやりがいを見つけるためと様々であるが、受け入れ先などの課題も山積しているという。

感想

特に第Ⅴ章の傾向から見ると、「市町村消滅」が現実に起こることは低いと考えるが、一種のブームに終わってしまうのであれば、「市町村消滅」は現実の物になるのかも知れない。しかしそうしないためにも地方もそれぞれの観点から「地域づくり」を行っている。それが続く限り、課題はあれど市町村は消滅しないという。本書はそれを証明づけている。

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