「天皇家の食卓」

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昭和天皇のごはん(新人物往来社2011年刊行)

昭和天皇がどのようなお食事をなさっていたのか、昭和時代に「天皇の料理番」であった方が綴っている。

第一章「宮内庁での料理修業のはじまり」

著者が宮内庁の料理人として修行が始まったのは17歳の時、その時にドラマ・小説「天皇の料理番」のモデルとなった秋山徳蔵との出会い、そして師匠から修行を受ける日々について綴っている。しかし著者曰く料理の練習はなかなかできなかったのだという。

第二章「宮中の食卓」

宮中料理というと贅沢な料理をイメージするのだが、昭和天皇・香淳皇后両陛下のお食事はよくある家庭料理なのだという。しかし家庭料理とは言っても四季折々の食材を織り込んだ料理を食されていたという。四季折々の食材については第四章にて詳しく述べる。
他にも昭和天皇の好物についても綴っている。昭和天皇の好物というとよく言われるのが蕎麦・鴨肉・鰻などがある。

第三章「「一物全体食」と日本の食事情」

「一物全体食(いちぶつぜんたいしょく)」とは「食材を丸ごと使用する」という意味である。このことは宮中でも大事にされており、かつて日本でも大事にされていた概念である。一昨年に「和食」が無形文化遺産に登録されたのだが、それも「一物全体食」の概念があってこそなのかもしれない。
ちなみに宮中で「一物全体食」を忠実に守っている理由は次章で詳しく述べる「四季折々」に関係があった。

第四章「四季折々、旬の食材の大切さ」

宮中では四季折々の食材を使った料理が並べられるのだが、その理由の一つとして皇室にて「御料牧場」という宮内庁直轄の農場・牧場を抱えている。そこで四季折々の野菜・肉・卵などが生産されており、料理の食材となると言う。その四季折々の食材を使ったご飯ものや御御御付け(おみおつけ)などが作られるのだが、その四季折々の料理のレシピについても取り上げている。

第五章「宮中に学ぶ日本の食文化」

とはいえ宮中で洋食が作られることもある。明治時代に入ってから明治天皇が文明開化を示すために自ら進んで牛肉・牛乳を食されていたことからはじまる。宮中でも洋食を取り入れられた時期は早かったという。とはいえ基本は和食を大事にされたという。特に米を大事にされ、昭和天皇自らが田植え・収穫を行う姿も本章にて収録されている。

第六章「宮中で学んだ料理上手になる秘訣」

著者が長年宮中で料理をこしらえていった中で、料理上手になる方法について取り上げているが、印象的な所として、「手軽さ」や「便利さ」を避け、手間暇かけることが大切であると言う。

第七章「台所の大切さ」

かつて台所にあったもの、そして現在も存在するものについて取り上げている。特に前者の場合は「竈(かまど)や「柄杓(ひしゃく)」などが挙げられており、それが失われた理由についても綴られている。
他にも昨今では男女関係無く台所に立つ様になったのだが、その現状についても、本章にて言及している。

第八章「こだわり 心の食卓」

宮中での奉職を通じて、皇族の食卓を支え続けてきた著者。その著者は料理を通じて、「食卓」そのものについての大切さを伝えているのだという。

感想

昭和天皇がどのようなものを召し上がっていたのか、本書に出会うまで存じていなかった。「料理」を通じた、「食」の尊さを知るだけでは無く、昭和天皇がお持ちだった「食」とは何か、それを知る上で本書は貴重な一冊と言えよう。

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