ガンダムと日本人の変遷。そこには制作者たちの思想があった。

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ガンダムと日本人 (文春新書)

ガンダムは1979年から始まって来年で40周年を迎える。今年の11月には「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」の続編にあたる「機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)」が劇場で公開されることとなり、親子ともどもファンになるものとしてガンダムが挙げられる。

しかしガンダム作品を色々と見てみると、物語のおもしろさもあるのだが、本書のように戦後日本の歴史を紐解ける、という見方もできる。

本書はガンダムに出てくるキャラクター・世界と、戦後日本の歩みの関連性について迫っている。

第1章「ジオン公国と大東亜共栄圏」

「ジオン公国」が出てくるのは、「機動戦士ガンダム」の第一作目である。その後、ジオンの残党として出てきた「機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY」などにも出てくる。そのジオン公国は自分自身も一時期ファンであったのだが、なぜガンダムにおいて敵国なのにファンになってしまうのか。一つは日本人のメンタリティがそうさせてしまうこと、もう一つは、「スペースノイド」という概念が本章のタイトルにある「大東亜共栄圏」と関連づけられていることにある。

第2章「「ザク=零戦」「ガンダム=戦艦大和」か?」

対をなす機体2体と戦艦・爆撃機とを比較しているのだが、それらにも理由がある。零戦は量産されたこと、そして改良ではなく「改造」されたことに関連性を見いだし、戦艦大和はガンダムのように量産型ではなく、あくまで「試作」という概念で語られている。もちろん「試作」といえばガンダムの終盤に出てくるジオンの「ビグ・ザム」も同じことが言える。

第3章「スペースコロニーと宇宙への夢」

宇宙開発は今もなお行われているのだが、宇宙開発のルーツとして「スペースコロニー」を挙げている。その中にあるのは「核開発」や「人口爆発」といったものも関連して取り上げられている。

第4章「二人のシャア―富野由悠季と小沢一郎」

富野と小沢の両方に関連すること、現体制に対する反逆と逆襲が挙げられる。もちろんシャア・アズナブルも現体制に対する反逆を描いた作品「逆襲のシャア」がある。小沢がそのシャアとダブらせたのは55年体制の末期に当時の一党体制と社会党となれ合う姿を「破壊」させたというのがある。一方富野は「学生紛争」における大学側への「逆襲」が挙げられる。

感想

戦後史とガンダムを関連して考えるのは一見こじつけのように見えるのだが、実際に本書の通り照らし合わせて考えてみると納得いくものがあった。そう考えるとユニークな戦後史の考察であると同時に、ガンダムについてまた違った観点で楽しめることができる一冊と言える。

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