なぜ地域再生はうまくいかないのか。人口減少時代の再興策とは?

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地域再生の失敗学 (光文社新書)

人口減少社会なのに、相変わらず拡大を目的とした話題作りや赤字イベントなど意味のない地域活性化が横行している。本当の地域活性化の意義を探る。

経営から見た正しい地域再生

  • まちおこしは、地元に利益を生むシステムを作ること。B級グルメもゆるキャラも、その意味ではまちおこしではない。くまモンの経済効果は1244億だが、熊本県民は豊かになったか? 冷静に投資額と効果を見よう
  • 地域が稼ぐには、誰を相手にして、どうお金を使ってもらうかの分析が不可欠。地方の商店街が東京に来てPRしても効果があるわけない
  • 閉店しても商店街に居座り、過去の利益で食べていくやる気のない商店主には税金を課すべき
  • 人口減社会では、自治体はいかに地域外からの「外貨」を獲得するか考えなければ。同時にサービスの移譲(病院は隣接市町村と一体化するなど)のような、削るところは削る検討が必要

官民連携の新しい戦略

  • 地方が独自課税や投資などを行わなければ、地域の生産力は向上しない。「都市から地方へ」というお金の流れは縮小傾向だが、交付税システム下では地方独自のインセンティブが生まれない
  • 官民の役割分担による事業(PFIなど)が実施されているが、うまく機能していない。海外では、TIF(再開発後の地価上昇そのものを担保にした事業)や、「自由移動する権利」に課税する交通税を徴収して公共交通整備にまわすなど、ユニークな政策がある
  • 自治体は儲けてはいけない、と考えるな。地価上昇や地域内の経済活性化を探れ

フラット化しない地域経済

  • ネットの普及が都市と地方の情報格差を埋める、と言われてきたが実際は逆だ。モノが行き渡り、イノベーションは顔を突き合わせたコミュニケーションから生まれるようになった。そのため、人材が集積する地域にさらに優れた人材が集まり、皮肉にも都市と地方の差は広がっていく
  • 地方は、東京ほど過密でないところに可能性がある。のんびりできる時間や空間もクリエイティブには必要
  • 地方都市が直接グローバルと関係を持つ可能性がある。松江の抹茶が(国内では弱いが)海外ではブランド化されている例など

人口減少社会の先進地としての過疎地

  • 人口減イコール悪、ではない。人口が減って取り分が増え豊かになった実例もある
  • 過疎地については、自主再建型移転という選択肢がある。撤退ではなく、再建の機を伺いつつ近隣地へ移転すること。70年代までは相当事例があり、移転後の住民の満足度も高かった
  • 集落の集約が行政の負担(雪かきなど)を減らすメリットもある
  • 過疎集落はみな移転せよ、というわけではない。移転含めて選択肢が多い方が対応しやすいということ。そして、集落の方向性を決めるのは住民

現場から考えるこれからの地域再生

  • インフラ整備は、地域再生に関して行政がすることのひとつ。慎重に!
  • 商店街の活性化と経済は別物。商店主同士の絆確認活動のために補助金を出す現状はおかしい
  • 地方再生というと勝手に山間部をイメージするが、日本人のほとんどは地方でも都市部に住んでいる。それを前提とした政策を
  • 人口減社会では、「東京になる」より「東京にないものがある」を目指さないといけない
  • 行政は民間に比べ、成果が出るのに時間がかかる。だからこそ、むしろ民間より将来を見通す判断力が必要。行政と民間の間を取り持つ人材が不足している
  • ショッピングセンターは悪ではない。時代に対応できない商店街こそ問題
地域再生の失敗学 (光文社新書)

地域再生の失敗学 (光文社新書)

  • 飯田 泰之,木下 斉,川崎 一泰,入山 章栄,林 直樹,熊谷 俊人

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