チャーチルの人物像を理解  人間的な人物に好感

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人間チャーチルからのメッセージ 不安な豊かさの時代に生きる私たちへ

 日本人アーティストの辻一弘氏が米アカデミー賞のメイクアップ&ヘアスタイリング賞を初受賞したことで話題を呼んだ映画「チャーチル ヒトラーから世界を救った男」を鑑賞する前にチャーチルについての本を読もうとこの本を手に取った。
 政治家としてのチャーチルの信念や勇気といったことが書かかれていると同時に、彼の短気な面や寛大な面、そしてひとつのことに固執する面など、チャーチルを賞賛するだけでなく、欠点や失敗を書いている。また帝国主義者としての面を記し、彼の英帝国への思いをも書いている。バランスが取れた良書だとは思うが、筆者の色を出していないのが残念だ。かんしゃく持ちだったチャーチルが、なぜそうだったのか。躁鬱病だったという説もある。チャーチルは「黒い犬」と言っているのだが、彼自身に躁鬱病の自覚があったのか?もちろん現代の英米の専門家の間で、チャーチルが躁鬱病だったかどうかで論争があるのは知っているが、筆者はどう見ているのか知りたかったが、自説を展開していない。
 経歴を見ると、元記者である。記者としてできるだけ客観的に書こうとした意図は理解できるが、もう一歩踏み込んで書いてほしかった。
 それでも、「リスクを恐れぬ勇気を抱いて人生を歩いていきなさい」や「良心の盾を持たずに人生を歩むことほど、軽率なことはない」など、われわれの人生を振り返る機会を与えてくれる。またチャーチルが酒好きで葉巻を吸い、競馬の馬主など、私が知らない人間味あふれることが書かれているのには好感を持った。筆者はチャーチルが偉大な人物だが、長所や欠点を持ったごく普通の人物だということを描きたかったのだろう。一読に値する本だった。

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