独特の文

10934views韓非韓非

このエントリーをはてなブックマークに追加
檸檬 (新潮文庫)

梶井基次郎という名を知らぬ者は少なくないかもしれない。一応高校の現代文に梶井氏の檸檬は取り扱われているためにふと思い出すということもあるのかもしれない。
梶井氏の簡単な経歴を紹介しよう。若い頃から本を良く読む読書家であったようだ。夏目漱石がお気に入りのようで新しい作家なども読んでいたようだ。初めから文学を志していたようではなくエンジニアになろうと考えていたようだ。しかし文学を読んでいる内に文学に目覚めたのかもしれない。やがてエンジニアではなく文学作家を志すようになる。しかし梶井氏に病気気味な貧弱な体により病によくかかったりして学校を中途退学をせざるを得なくなったりしている。病は梶井氏を生涯苦しめることになる。病による精神的になると頽廃的なる。女色や泥酔のあと店に迷惑行為を起こしたり、借金の重なった下宿から逃亡したり自殺を企てたりと堕落した生活を送る。

芸術的な人物は思うに鋭敏すぎる感受性を持っているようである。他の作家でも太宰治や夏目漱石などもうつ病など精神的に苦しめられている。作家ではないが尾崎豊も堕落し頽廃的な生活を送っている時期がある。

しかしこれは一種の才能でもありそのような人物でないと芸術というものは作れないのかもしれない。むしろこの頽廃的な生活体験が真理を探究する心の逆説的表現であったのかもしれない。梶井文学を構成する上で非常に貴重な体験でもあったのではないかとも推測できるような気もする。

このころに頽廃的な生活の反省を示すような作品を発表している。しか頽廃的な生活は生涯続くようでありむしろ頽廃的な生活の中で天才的な文学を発表していく。

他の作品も紹介すると長くなるので省かせてもらうが檸檬は非常に独特の文体スタイルが私は非常に好きなのだ。私自身もアブノーマルな人間なので一般的とは違うといのも一つの理由としてもあるのではないかとも考えたりもした。病による生への絶望感の漂う生活の中で一つの快感を覚える。

梶井氏はプロレタリア文学も読んでおり新現実主義、新感覚派、新興芸術派、一方にプロレタリア文学の要素がある。梶井氏は生前は評価されなかったようだが死後に名声を浴びるようになり独特の地位を形作る。作家で死後に評価される人物というのもあまりない例なのではないかと思う。人間的苦渋のある限り、人は梶井文学に苦患を洗い清めるのであろう。ぜひ一読してもらいたい本だ。

檸檬 (新潮文庫)

檸檬 (新潮文庫)

  • 梶井 基次郎

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く