愛する家族のうつ病を前に私たちができること

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家族が治すうつ病: 5つのステップ6つの手法

本書はうつ病をもった妻に寄り添った経験をもとに、その夫が記した家族のための対応バイブル。

第1章は家族を襲う悩みについて。
第2章は日本のうつ病治療の現状について。治療の三本柱として、薬物療法、精神療法、環境調整が紹介され、医師は薬物療法が主体、精神療法は医師によってピンキリ、環境調整に至っては口頭確認のみが多い、と指摘。薬物療法についても、抗うつ薬を指示通り飲まない患者が多いとし、服薬を確認する家族がいてはじめて薬物療法が完結するとする。

そのうえで、初診から3ヶ月は家族の口出しは厳禁、薬物療法をすると決めた以上は、医師を信頼して、患者の前では主治医を立て、家族は服薬管理に専念すべきとする。一方で3ヶ月経っても改善がなければセカンドオピニオンを、半年経った場合は患者の意見を最優先に考えながらもいったん現在の治療関係を終了して、新しい治療先をと勧めている。その背景には慢性化しても「もう少し経過をみましょう」という医師が多いこと、今までと同じことをしていては同じ結果しか出ない、思い切った仕切り直しは家族がやらなければなかなか実現しない、という家族経験者としての著者の真摯な思いが感じられる。

第3、4章では家族がうつ病を治す5つのステップとして、
1.家族の出番を見定める(3ヶ月経っても改善が見られない場合は、家族の出番!)
2.現状を分析する(経過、薬の効果、改善傾向の有無から今後の見通しをつける)
3.治療のサポート
4.再燃、再発対策
5.職場復帰の支援
が紹介されている。

3の治療のサポートについては以下がポイント。
・ 薬物療法では服薬確認と残薬管理に専念する
・ 精神療法はまずは実施状況と満足度を患者に確認する。不足している場合は家族が愚痴聞き役に徹して患者の話を傾聴する。
・ 患者を変えようとしても変わらない、変えようとしてはいけない。
・ 家族自らが変わることで、患者とのコミュニケーションを変える。
・ 自分から変わるための具体的な方法としてポジ語尾(ポジティブな言い方に直して言う)、ホメニコ(褒め言葉には必ず笑顔をプラス)、よかった探し(その日によかったことを3つ探す)。
・ 家族と患者のコミュニケーションが変わると、やがて患者が変わり出す。
・ 環境調整に医師はノータッチなので、家族がゆっくり休める環境を作る。環境調整には休職している職場との連絡調整なども含まれる。
・ しかし、医師による治療がうまくいかないからといって、家族がしゃしゃり出て治療まがいのことをしてもうつ病は治らないし、むしろ悪化してしまう。
・ 実は、家族にうつ病は治せない。家族にできるのは治る環境をつくること。

他にも第5章では家族が中心に行う精神療法についても紹介されている。

感想

自身が家族という、うつ病の「もう一人の当事者」であるという強みと、自身が産業カウンセラーとしてうつ病を持つ人のご家族を支援しているという強みの、両方を活かした、類い稀な一冊となっています。

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