自衛隊をめぐる不都合な真実

749viewsbook beetlebook beetle

このエントリーをはてなブックマークに追加
週刊ダイヤモンド 2017年 8/26 号 [雑誌] (自衛隊 防衛ビジネス 本当の実力)

特集記事から、印象に残った箇所を抜粋・要約する。

石破茂氏インタビューより

・石破氏は防衛庁長官時代(小泉内閣)、「北海道にこんなに戦車が要るのか」と疑問を投げかけた。石破氏曰く、「戦車に命を懸けているやつ」がいるせいで、陸自は不必要な戦車の保有を改めようとしなかったのだという。自衛隊の中に、強固な前例主義が存在する。
・防衛関連の法律と日米安全保障条約が頭に入っていることは、防衛大臣に必要な資質である。防衛大臣は、法律や政策を、防衛省の官僚に丸投げしてはいけない。統制の主体は文民たる政治家である。文官(官僚)ではない。その上でも、大臣たる政治家は、法律や人員・装備、運用のすべてを理解しないと、職務を果たせない。

防衛省幹部は、「どんな大臣が来ても、ちゃんと務まるようにするのが自分たちの役割だ」と言う。「あ、そう」と言ってやりたいね。「おまえたちがそんなことを言うから、民主党の誰それみたいなやつが来ちまったんだ」と。|

最大勢力は「陸」

・自衛隊員約22万7千人のうち、その6割の13万9千人は陸自に属する。また防衛関係費約5兆円のうち、陸自は最大の36%(約1兆8千億円)を占める。・中国はこの10年で国防費を3倍のレベルに増加させたと言われているが、ポイントはその予算を「陸」ではなく「海」「空」に傾斜配分している点だ。中国に限らず、アメリカやロシアも海・空の兵力を強化している。こうした「陸から海・空へのシフト」という世界的な潮流の中で、日本だけは、そのようなシフトが見られない。依然として、陸自が予算の4割弱を握り続けている。強い政治家がこうした組織の在り方にメスを入れるべきだが、近年は、エリート自衛官を相手に論陣を張れる政治家が、防衛相ポストに就いてこなかったという残念な事実がある。

兵器開発の難

・米国には軍事向けと民生向けの技術開発が互いに波及させあう戦略的な仕組みがある。そうした民軍両用(デュアルユース)の典型例が、インターネットや、自動運転技術を支えるAIやセンサーである。こうした取り組みが、先進的な技術の開発を可能にしている。・一方、中国は他国が開発した技術をパクり、改良を加えることで技術を磨いている。ロシアの戦闘機をコピーしたこともあるし(ロシアは非難)、空母「遼寧」はロシアの中古を改修したものだ。・さらに、中国はドローンの開発でも先進的だ。尖閣諸島周辺でも既にドローンをとばしている。・こうした国々と比較すると、日本の軍事技術開発は周回遅れ。研究開発予算は、アメリカの44分の1でしかない。・ただ、日本の民生技術の「素材」は、軍事への転用が期待できる。

中国が侵攻したら米軍は逃げる?

・中国が日本に侵攻し、ミサイル飽和攻撃を行なった場合、米軍の主力はいったんグアムやオーストラリア方面へ退避し、中国の攻撃がゆるんだら反転攻勢をかけるという作戦になっている。その間、自衛隊は自力で戦うしかない。

ついに「日本版海兵隊」が誕生!

「水陸機動団」が2018年3月に始動する。この部隊の主力は、陸自の西部方面普通科連隊(西普連)。西普連は、第一空挺団と双璧をなす、陸自きっての精鋭部隊だ。これに加えて全国から選りすぐりのエリート隊員を集め、将来的に3千人規模の大部隊とする方針だ。 水陸機動団は、離島が侵攻された場合に、いの一番に駆けつけて最終的に島を奪還することを任務としている。水陸両用戦を展開することから、「日本版海兵隊」という触れ込みだ。
感想

 文民統制の機能不全、陸自の隠蔽体質、背広組と制服組の確執、陸・海・空の縄張り意識など、数々の問題が指摘されている。
 特に石破茂氏のインタビューは、非常に読み応えがある。石破氏は、ただ自衛隊の強化を主張して来たのかと思っていたが、実は、自衛隊の硬直的な組織や制度とも格闘してきたのだ。自衛隊の組織は盤石ではなく、石破氏はそれについて厳しい批判を加えている。見開き2ページは物足りない。もっとページを割いて欲しかった。

 今回もタブーに切り込んでいるあたりはさすがダイヤモンド、実に痛快。「売れない武器」というページで、艦艇に使われている「防火仕様」の絨毯やカーテンを、廃棄する際に火をつけて見たらすぐに燃えた、などというエピソードは、「おいおい!」と声を上げて突っ込んでしまった。

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く