自動販売機の付喪神と出会い、過ごし、恋をし、プロポーズをした少年の話。

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幼馴染の自動販売機にプロポーズした経緯について。 (カドカワBOOKS)

 神社の子供として生まれた少年は、近所の文房具屋前の自動販売機の近くに着物姿で傘を持つ”人ならざる者”の姿を見る。
 彼女を幽霊だと思い込み怯えるも、意を決して挑み塩を投げつけるも、効果がないばかりか、傘で殴られ逃げ帰ってしまう。それ以来文房具屋を避けるようになるが、地縛霊だと思い込んでいた彼女は町中を自由に動き回り、少年は右往左往とする。
 話ができる人間は少年が初めてだった彼女は知りえた重要な要件を彼に伝えようとするが、少年は逃げてしまい危うく事故にあう。彼女に助けられ、謝られた少年は次第に警戒心を解いていく。

 彼女は幽霊ではなく、オンボロ自動販売機の付喪神だった。壊れた自動販売機の機能を補うように人に”当たり”の御利益を与える彼女に胡散臭さを感じたりするものの、ジュースにつられ少年は懐柔され、彼女を自動販売機の精と呼ぶようになる。

 当時少年の母は重い病に侵されていて、自動販売機の”当たり”昨日の代わりに人々にちょっとした癒しを与え続けている彼女に、少年は母が手術を受けるまでの延命を頼んでしまう。
 いけないこととは知りつつも彼女は引き受けるが、その甲斐なく少年の母は亡くなってしまう。
 彼女はモノの天命を察知してしまう能力を持っており、母に死期が見えたという。少年は泣きじゃくり彼女は謝り続けた。

 少年も成長し年ごろを迎えると、両親の離婚であれていた幼馴染との交流を経て愛の告白を受ける。興味津々に成り行きを凝視する自動販売機の精にデリカシーのなさを憤りながらも、自身が彼女に恋心を抱いていることに気付いてしまう。

 決して実らぬ恋心を捨て去るため、実家の神社を継ぐため、少年は家を出て神主になるための学校に進学する。数々の女性と付き合うものの、帰省する度に変わらず笑いかけてくる自動販売機の精への思いは断ち切れず、付き合う女性に次々と愛想を尽かされてしまう。

 学校を卒業し、家に戻った後も悶々とし続ける少年はある日自動販売機の寿命が近いことを知る。自動販売機の寿命が尽きたら、恐らく自分も消滅してしまう。という彼女に、少年は自動販売機延命のためあらゆる手を尽くす。しかし、自動販売機の所有者である文房具屋の女主人がなくなってしまう。

 文房具屋の女主人は自動販売機の精の姿こそ見えないものの、気配を感じとり、好意的に接してくれていたが、遺族はボロボロの自動販売機に興味などなく、少年は遺族に頼み込んで自動販売機を引き取り、神社の雑神として迎え入れられるよう手を尽くす。
 呆れながらも、自動販売機の精の気配を感じ取っていた父は少年の無茶を承諾するが、肝心の神社の御祭神に彼女は拒絶されてしまう。

 自らの最後を悟った彼女は最後に少年の願いに応えようと、バレンタインのチョコレート作りに挑む。しかし、幼馴染の女性とと少年の中を誤解し、失意の中、チョコレートを口にする。

 人の世のものを食べてしまった彼女は人間となり、少年の熱烈なプロポーズを受け入れてしまい、幸せに暮らしましたとさ。

感想

気負わず読めるほのぼのラブストーリー。可愛い。
安心のハッピーエンド。ネタバレ満載ですので、苦手な方は読後まで読まないでください。

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