学校では教えられない上手な教え方、インストラクショナルデザイン

2487viewsこころとまなぶこころとまなぶ

このエントリーをはてなブックマークに追加
上手な教え方の教科書 ~ 入門インストラクショナルデザイン

* 教えることは日常的な行為である。
* でも私たちは学校で上手な教え方について教わっていない。
* インストラクションとは意図的に教える行為をいう。似たような用語に教育、授業、研修などがあるが、これらは先生、教員、教師が教えることを暗示している。
* しかし、教えるという行為は誰もが日常的に行うことであり、本書では広くインストラクションと呼ぶ。
* インストラクショナルデザインは科学的によい教え方を追求する学問であり、教える行為(インストラクション)の設計(デザイン)について扱う。
* インストラクショナルデザインでは、学び手の学習成果によって、それが効果的であったかを測定する。
* 教えたいという意図をもって教えていれば結果はどうあれ「教えた」ことになる、という考え方を意図的教育観という。
* この教育観では結果が悪かった場合は学習者の努力が足りなかったことに責任を転嫁することもできる。
* これに対して学習者がゴールに達して初めて「教えた」ということができるという考え方を成功的教育観という。
* この考えでは常にゴールである学習目標が達成されたかに関心をもち、それに対して責任を持とうとする態度が要求される。
* インストラクショナルデザインは成功的教育観に立つ。
* 第2章からは各論。
* 第2章では、運動技能のインストラクションを扱う。具体例はパソコンのタッチタイピングを教える場合。運動技能のインストラクションでは目標を小さくして達成しやすくするスモールステップと、望ましい行動が起こったらすぐに強化するという即時フィードバックの原則が大切である。
* 第3章では、認知技能のインストラクションを扱う。具体例は企画書を書くことを教える場合。認知技能のインストラクションでは、記憶の容量に限界があることから、できるだけ情報を少数に限定したり、ゴロ合わせのように意味のあるまとまりとして教えたりする方法がよい。
* 第4章では態度のインストラクションを扱う。具体例は朝早く出勤すること。態度は命令できない。コミュニティのなかでの自分の立ち位置やふるまいを学び手自身に自覚してもらうことが大事。
* 各章ではそれぞれの理論的土台である行動分析学、認知心理学、状況的学習論についても端的にまとめられている。
* 第5章からは実際のコースの設計を扱う。

本書では社員教育での「あれだけ言ったのにまだやれないのか!」にもちゃんと理由があると述べられている。
* 認知技能のインストラクションではたとえうまく教えたとしても、学び手はすぐにはできるようにならない。それはなぜかというと、次のような理由がある。
* 例えば一度誤った知識を取り入れてしまうと、それを修正するのが難しい(バグ修正の問題)
* ほかにもたとえ正しい知識を取り入れたとしても、それを違った場面や状況で適用するのが難しい(領域固有性の問題)
など
* 教え手は、認知技能のインストラクションをするときに、以上の問題を意識して、教え方の工夫をする必要がある。
第2章ではこれらの解決策についてもそれぞれ詳述されている。

感想

入門とうたわれていますが、かなり踏み込んだ内容まで述べてあります。行動分析学、認知心理学、状況的学習論について一度は耳にした事があるという人が、インストラクショナルデザインという視点で知識を整理し直すのにはとてもよい本と思います。

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く