川端康成「雪国」

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雪国 [kindle版]

日本近代文学史上、最も有名な書き出しで始まる不朽の名作

汽車に乗って雪国を訪れたのは、島村という名の自称西洋舞踏評論家である。島村は半年振りにある女に会うため、越後湯沢の温泉地にやってきたのだ。

汽車は信号所で止まり、島村は駅長を呼ぶ美しい女の声を聞く。声の主は三等客車の若い娘で、病人の男を連れており、まえまめしく看病する姿が印象的である。娘の名は葉子というらしい。やがてその2人は島村と同じ駅で汽車を降りる。

温泉宿に着いた島村は、その夜、駒子という芸者と再会する。島村が初めて駒子に会ったのは半年前のこと。当時の駒子はまだ素人だったが、島村が芸者を呼ぶと、あいにく全員出払っていたため、代わりに踊りの師匠の養女であった駒子が呼ばれてきたのである。島村は駒子の清潔な美しさに心惹かれたのだった。

駒子と再会した翌朝、島村は駒子に誘われて彼女の住む踊りの師匠の家に行く。その家で島村は、汽車で見かけた娘葉子に出くわす。実は葉子が連れていた病人は、この家の主であるお師匠さんの息子なのだった。

その後、島村はある按摩師から例の病人は駒子の許婚であり、駒子が芸者になったのも病人の治療費を捻出するためであったという噂を聞く。そこで島村は翌朝駒子本人にそのことを訊ねるが、駒子は許婚というのはお師匠さんが勝手にそう望んでいたにすぎないといって噂を否定する。そして葉子との関係については一言も触れようとしない。結局のところ、駒子と葉子、病人の3人の関係は、読者にもはっきりと明かされることはない。そんなやりとりの後、島村は駒子に三味線を弾いてくれと頼む。駒子は勧進帳を弾くが、その冴え冴えとした響きを聞いて、島村は「ああ、この女はおれに惚れているな」などと思う。

やがて島村の帰京の日がきた。駒子は駅まで島村を見送りにくる。するとそこへ葉子が来て、病人が危篤だからすぐに帰るようにと駒子に言う。それを聞いて島村も駒子に帰るように勧めるが、駒子はなぜか拒否をする。

翌年の秋、島村は再び雪国を訪れる。一年ぶりに会った駒子はすっかり連絡を絶っていた島村をひとしきりなじると、やがてその後の身の上話を始めるのだった。くだんの病人は既に死に、お師匠さんも亡くなったので、今は置屋にいるという。さらに駒子は自分の年季が4年であることなども打ち明ける。

芸者という境遇ゆえか、それとも島村の冷淡さが原因なのか、駒子はしばしば泥酔状態で島村の部屋を訪れた。島村は駒子のひたむきな生き方や、島村に対する烈しい愛情にふれ、彼女をつくづくいい女だと思う。しかし、彼女の愛がすべて徒労であることを知るがゆえに、つらい思いを抑えられない。島村は呵責を覚えつつも駒子と関係を続けるが、ところどころで印象的に登場する葉子の美しい声と姿にも島村は心を惹かれる。駒子は葉子を何かと邪険にして、彼女は恐ろしいやきもちやきだなどとも言う。

今回の島村の滞在は妻子の元に返るのも忘れたような長逗留だった。駒子がしげしげ会いにくるのを待つのがすっかり癖になってしまっていた。だが島村は、いつまでも自分の我儘を続けることはできないということも感じつつあった。

そんなある日、島村が遠出から帰ってくると、突然「火事だ」という声を聞く。現場に駆けつけた島村と駒子は、建物の2階から女の体が落下するのを目撃する。なんと落ちた女は葉子であった。駒子は駆け寄って葉子を抱き上げる。島村は物狂おしく叫ぶ駒子に近づこうとするが、他の男たちに押しのけられてしまう。天を見上げた島村の中には、天の河が音を立てて流れ落ちるようであった。

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