ある個人視点からのSANYO衰亡記

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キャッチ・ザ・ダイヤモンド

 昭和四十三年に三洋電機に入社した男性のビジネスにまつわる自伝であり、そのうち三割ほどは真如苑という宗教団体の紹介に充てられている。また、三洋電機在籍時のエピソードは、ある個人視点からのSANYO衰亡記でもある。
 大雑把な流れとしては、入社して貿易子会社に出向となり、アメリカに赴任して販売子会社で営業をし、副社長になって年間二千億円を売り上げた後、日本を経由してイギリスの販売子会社の社長となるも、海外子会社が本体よりも影響力を持つようになるのを嫌った本体経営陣が英語も話せない社長を送り込んで来て、それに反発して閑職に追いやられて退職、中国をスポンサーとして起業するも追い出される、というものである。その後、立ち上げた会社は順調に推移するのだが、体調不良をきっかけに、宗教に目覚めて行くのだ。

 元々は自伝だったものを一般向けに編集したのが本書であるらしく、部分部分は読めるのだが、全体構成が分かりにくい部分もあり、特に時系列が混乱しやすい。また、三洋電機入社前のペーパーテストの内容を事前に教えてもらったとか、飲酒運転で捕まった際に警官に賄賂を渡して罪を免れたとか、どこにもつながらず、だれの得になるかも分からないような出来事が残されているところが微妙に感じる。
 タイトルの「ダイヤモンド」というのは内なる善性を示唆しているらしいのだが、それは人生の指針となる哲学の中の一つに過ぎないことを考えると、作中で指針を示す象徴的なものとして現れる南十字星を副題ではなく主題にした方がふさわしいのではないかと感じた。おそらくは、磨くということを示唆したかったのでダイヤモンドとしたのだろう。

 筆者が宗教に目覚めるきっかけの一つとして、メキシコ人から「信仰がない人間は野蛮人」と言われたことがあるらしいが、個人的には信仰ではなく哲学が必要なのではないかと思う。

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