N女にインタビュー

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N女の研究

 社会貢献を目的とした組織、団体、企業などのソーシャルセクターで働く女性のことをN女と定義しているらしい。元々はNPOで働く女性から来ているのだが、NPOだけがソーシャルセクターではないので、営利企業であっても社会貢献を目的としているならば、そこで働いている女性はN女になるらしい。
 そんなN女、10人+1人からの聞き取りを元に構成されているのが本書である。こういった本の場合、NPOを立ち上げた、意識の高い、カリスマっぽい人が滔々と理想を語るような本になりがちだが、本書に登場するN女は、あえて組織の代表や広報などではなく、そこで働く職員が中心としている。このため、結構普通だな~と感じる部分も多い。

 日本の社会構造が変化した結果、かつてはセーフティーネットとして機能していた家父長制や村社会、終身雇用制などが崩壊し、小さな政府を目指すことによって公共的な支援も弱まりつつある。こういった変化の中で、ソーシャルセクターが果たす役割は大きくなっていくのだろう。そういった文脈の中で本書の登場人物たちも語られるのだろうと思い読み始めると、その期待は裏切られるだろう。

 本書に登場する人たちには、いくつか共通点がある気がする。まずは、女性であり、有名大学の出身である。高校くらいまでは集団のトップに位置付けられているが、大学あたりでそこからこぼれ落ちている。ここから想像できるのは、営利企業や官庁のトップを目指すことは難しい現実の中で、どこならば自分だけの価値を示せるのかという自意識である気がする。
 もうひとつは、それなりに収入の良い夫を持っているということである。ソーシャルセクターの収入が上昇しつつあると言っても、同年代トップクラスの収入には程遠い。それでもそこで働けるというのは、彼女たちの生活が安定しているためでもある。逆にN男だと、結婚時に退職してより収入の良い職場を目指すこともあるらしい。

 総じて感じるのは、最後の逃げ道をもたない人間がうかつに踏み込めない領域だという印象だ。なかなかソーシャルセクターだけで生きて行くのは難しいので、収入の良い官民組織との間で人材を交流させないとしくみが成立しなさそうな気がする。
 NPOの主な収入源が補助金と寄付だとすると、これが提供するサービスは一種の収入の再分配と解釈できるので、いっそのこと、支援をしたい個人と受けたい個人をマッチングする共通プラットフォームを作った方が、意外に上手く機能したりするのかもしれない。

N女の研究

N女の研究

  • 中村安希

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