”悪”は人間と人間の関係の中から生まれる。”悪”に鈍感になってはいけない。

546viewsカタカナカタカナ

このエントリーをはてなブックマークに追加
悪の正体 修羅場からのサバイバル護身論 (朝日新書)

悪とは何か

伝統的な3つの“悪”

1)故意に他者を苦しめるときに発生する“悪”
※外科医が治療を行う上でやむ負えず患者に与える苦痛は除く
2)病気や暴風雨といった自然の作用から生ずる苦しみ
3)形而上的なもの

現代2)の恐怖が低下し、人々は“悪”に対して鈍感になっている。

「“悪”に対して鈍感」とは、「“他者の苦痛”に対して鈍感」であるということ。
“悪”に鈍感な人が増えると、“悪”は個人の規模を超え、会社や国家といった規模の“超個人的な悪”となり、個人的な活動の限界も個人的な責任の限界も超える。

例>振り込め詐欺グループ、沖縄の基地問題など

“悪”に対する鈍感や無頓着は人の恨みや憎しみをかうことがある。

人間の持つ「負の側面」全般における根源となるのが“悪”。
“悪”は人間と人間の関係の中から生まれる。

“悪”が人格化したものが“悪魔”。“悪”を行う人間こそが“悪魔”であるといえる。

人の中にある“悪”

特に“悪”と“罪”がはびこる場所
1)人間が他者を踏みにじるところ
  2)人間が他者の尊厳を傷つけるところ
  3)人間が自分の利己的な目的のために他者を利用するところ

“悪”は言葉から生まれる

・不当に話を盛る
 人から聞いた話を自身の自由意思で不当に大きくしたり、歪曲したりして伝えることは“悪”。

・言葉だけで他者の心理を操る
 自分の主張だけを通して他者を思うように操ること、
 他者を自発的に動くようしむけること、
 権力における自らの優位性を確保すること、
 物事に異常に執着するよう仕向けること などは典型的な“悪”。

言葉による“悪の連鎖”が人間の運命をおかしくさせる。

「口に入るものは人を汚さず、口から出て来るものが人を汚すのである」(マタイによる福音書、第15章11節)

資本主義は“悪”を量産する

資本主義社会では、すべての欲望が商品として実現される。
資本主義は過剰な欲望を常に持たせておかなければ生き残ることが出来ないシステム。
資本主義社会では、欲望を自力で調節しないと、“悪”に食われてしまう。

資本主義社会における最大の病は資本。
資本は貨幣の特殊な使い方から生まれる。
貨幣について理解しなければならない。

感想

……相変わらずすごい表紙です。朝日新聞さん、売り方がうまいです。

場所によっては宗教カテゴリーに分類されているくらい宗教色がありますが、キリスト教(一神教)における“悪”の定義を基に人間社会にはびこる“悪”について考察した本であり、キリスト教徒でなくても興味深く読むことが出来ます。もっともキリスト教(聖書)の知識があるともっと面白く読めると思います。

まとめは第1-3章を中心に行っています。省いた点も多く、詳しくは本書をお読み願います。第4-7章は映画などを通して”悪”の具体例が示されており、楽しく身近な“悪”の存在を理解する助けになります。

7章の「種から個体が生まれる」という思想が今後よみがえるかも。といったくだりでAKBを思い出し、すでにその兆候はあるかもしれない と考えてみたり。

自身に突き刺さるところも多く、手元に置いておきたいと思う一冊でした。

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く