まるでSFのような人類の未来・・・テクノロジーの超進化「シンギュラリティ」がもたらすもの

478viewsbook beetlebook beetle

このエントリーをはてなブックマークに追加
シンギュラリティは近い[エッセンス版] 人類が生命を超越するとき

◼︎シンギュラリティと収穫加速の法則◼︎

「シンギュラリティ」とは、テクノロジーの急速な変化により、人間の生活が後戻りできないほどに変容してしまうような、来るべき未来をいう。
この概念の根本にあるのが、「収穫加速の法則」という考えである。これは、人間が生み出したテクノロジーの変化の速度は指数関数的に加速しているというものである。つまり、進化のペースはどんどん早まっていくのだ。
指数関数的な成長モデルでは、最初の変化はゆるやかだが、やがて爆発的な成長を遂げる。(たとえば、1年後に2倍になるものは、7年後には128倍になる。)
コンピュータの進化も、この法則の下にある。未来のある時点で、想像を絶するような根本的な変化が訪れる。それがシンギュラリティである。

◼︎予言年表◼︎

【2010年代初期】スーパーコンピュータが「10の16乗CPS」を達成

「cps」は1秒あたりの計算回数。2012年に日本の「京」が10の16乗を達成しており、この予言は的中した。その後も、スパコンの進化は続いている。

【2020年ごろまでに】視覚的・聴覚的に完全なVR環境が、全面的に普及する。

オフィスに社員を集める必要がなくなり、好きな場所で仕事をするのが当たり前になる。五感すべてを組み込んだ完全投入型のVR環境は、2020年代の終わりには手に入る。

【2020年代までに】脳全体のモデル化、シミュレートに必要なツールがそろう

【2030年代の終わり頃】脳のアップロードに成功

【2045年】シンギュラリティが到来

1000ドルで買えるコンピューティングは「10の26乗cps」に達する。これによって一年間に創出される知能は、今日の人間のすべての知能よりも約10億倍も強力になる。

◼︎未来の姿◼︎

完全なVR環境の実現

物理的な物体としてのコンピュータが姿を消し、ディスプレイは眼鏡に、電子機器は衣服に織り込まれるようになる。「ウェブサイトに行く」というのは、VR環境に入ることを意味するようになる。服の試着ですら、店舗に足を運ばずに行えるようになる。
そんな中で、「VR環境デザイナー」という新しい職種が生まれ、新しい芸術の形となる。

仕事の意味の変化

脳とコンピュータが直結すれば、新しい知識や技術の習得は、オンラインでダウンロードされるようになる。仕事の意義は、芸術から科学まで、あらゆる知識の創造に向けられることになる。

人体2.0ーーヒトはサイボーグ化し、死をも克服する

赤血球よりはるかに高い酸素運搬能力を持つレスピロサイト(人口赤血球)を用いれば、ヒトは酸素なしで何時間も生きられる。ロバート・フレイタスが設計した血液は、ヒトの赤血球の最高で1000倍もの酸素を蓄積・運搬することができる。
また人口赤血球が自律的に体内を巡って酸素を送り届けられるようになれば、心臓をもつ必要がなくなる。また酸素の取り込みと二酸化炭素の排出をナノボットが行えるようになれば、肺も不要になる。同じ理屈で、消化器官も不要になる。
内臓の多くが不要になれば、当然、寿命も延びる。
フレイタスは、老化や病気のうち、医学的に予防可能な症状の50%を実際に予防すれば、平均寿命は150年を超えるだろうと予測している。

◼︎技術革新は頓挫しない◼︎

テクノロジーの進化に反発する勢力が、それを押しとどめようとする可能性はありうる。
しかし筆者は、それでも「大幅な逸脱はまずない」と見る。過去に世界大戦や大変動が起こった時でさえ、技術革新は少しもペースダウンしなかったからである。

感想

本書で予言されている技術の一つに、「脳のアップロード」すなわち「人格のコピー」がある。興味深いのは、筆者はそれを予言しておきながら、「そうしてコピーされた私は、果たして私なのか?」という、哲学的な問いを発している点だ。
筆者の描く未来像は、よく「楽観的すぎる」と批判されるそうだ。しかし本書では、技術革新がはらむ不気味な側面も活写されていて、読み応えがある。人体2.0において、心臓も肺も不要になり、また脳もコピーできるとなると、一体それは何者なのだろうかという疑問がわく。それについての筆者の見解は、不十分な気はするが、とても刺激的だった。

本書は「エッセンス版」で、元になった本は2005年の刊行だそうである。私は2017年に読んだわけだが、「京」の実現を予測していたのは非常に面白いし、また来るべき2020年代がどうなるのか、本当に楽しみだ。果たして、筆者が説く未来は到来するだろうか。

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く