過去に寄り添う日誌

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冬の日誌

著者の体に関する記憶。痛み・温かみ・性への欲望など自らの体に起きた記憶を、振り返り日誌として書かれている。
時系列は物語の中で前後するが、その時々の記憶が詳しく記載されており違和感を感じない。むしろそうすることで記憶という曖昧なものを引き出そうとしているようで妙にリアルである。そして『君』という二人称で記載されているためか、著者の記憶が自分の記憶のように感じてしまう。全く自分は経験していないのに、著者の記憶の中で同じように、傷つき、喜び、葛藤してしまう。まるで自分の経験のように。読み終えたあと限りなく著者に近く、限りなく遠いところにいてることを痛感してしまう。そしてそれは自分のリアルな体の記憶として刻まれる。
ただ小説に自己投影するだけではなく、本当に自分の過去のように感じさせる魅力的な一冊。

冬の日誌

冬の日誌

  • ポール オースター

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