「都民ファースト」は本当か?ポピュリズムの申し子 小池都知事の都政を緊急検証

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検証・小池都政

 本書は、東京都議会議員選挙を控え緊急出版された小池都政の検証本だ。
 東京都知事の小池百合子氏が推進してきた東京五輪関連事業の見直し、築地市場問題という都政最大の関心事のみならず、都知事選公約に掲げた待機児童問題の改善など地味な政策も果たして具体的に施政されてきたかを問う。
 小池都知事は自身が学長の「希望の塾」で小池チルドレンと言われる政治家を志す熟生たちの前で早期に「(豊洲市場)移転問題は都議会議員選の最大の争点となる」と事実上、自民党への「宣戦布告」を行った。
 築地市場跡地へのカジノ誘致を夢見た石原慎太郎・元都知事は、800億円以上の土壌汚染対策費を投じて欠陥物件を高値で購入した責任を追及された。その住民訴訟に小池現都知事も後押しした。
 石原慎太郎・元都知事は今年3月3日、日本記者クラブで会見に臨んだ。記者からは2011年3月に東京都と東京ガスが結んだ「土地売買契約書」と「土壌汚染対策の費用負担に関する協定書」に質疑が集中。2001年7月に基本合意後、12月に移転を決定するが、それ以前に環境基準の1500倍の濃度のベンゼンが検出されたことがわかる。だが、石原氏は「部下の責任」にすり替え、売主の瑕疵担保責任を放棄した。地方自治法第147条「地方公共団体の統轄及び代表」により、地方自治体の首長は常に住民訴訟で賠償責任を負うリスクを負う。責任転嫁を図ろうとした石原氏は無知蒙昧さを告白したに等しい。その後も小池知事と石原元都知事の対立は激化。石原氏は法廷闘争も辞さない態度を明確にした。だが「築地女将さん会」が「生殺しにしているのは石原さんの方だ」と現場から抗議の声をあげた。
 小池氏は「希望の会」塾生と共に「原発から都民を守るための政策作り」に消極的にも見える。 
 著者は「『原発推進の安倍政権と対決することになる原発問題には触れない』という下心があるのか」と勘繰る。また、被災者を苦しめる大型公共事業バラマキの防潮堤建設などの所謂“安倍土建政治”で利を得るのは土地所有者と建設業者のみだが、小池都知事はこの問題にも切り込んでいない。
 都知事選から小池氏は五輪関連事業予算削減を巡り、予算増大批判の急先鋒だった。バレーボール会場を巡り「有明アリーナ」新設か「横浜アリーナ」活用案を検討するかを明示した際、五輪組織委員会の森元首相が猛反発した。「横浜は迷惑していると聞いている」とする森氏との応酬はメディアでも取り沙汰され、すぐに林文子・横浜市長が記者会見を開いた。「(迷惑しては)ございません。歓迎というか、要請があれば承るということです」と主張。小池氏に軍配を上げた。
 小池都知事の打ち出した「東京大改革」は選挙手法で成果を上げてはいた。だが豊洲市場移転問題と同じく改革の具体的な中身が見えてこない。
 タワーマンションの建設ラッシュで保育園問題が深刻化する中央区で、子育て中の母親は怒りを見せた。「都知事選では小池さんに期待して投票したのですが、待機児童問題への取り組みが不十分でガッカリしています。五輪や豊洲問題などマスコミ受けする派手なテーマばかりに熱心で、注目を集めて都議選で系列議員を増やすことが最優先の『自分(小池新党)ファースト』にしか見えないのです」 
 小池氏は都議選を前に自民党離党届を出し「都民ファーストの会」代表に就任して情報公開を旗印に安倍自民党との対決姿勢を鮮明にした。だが本書を読めば、元防衛相として鑑みてもいかに原発政策が置き去りにされているか。メディア受けする政策にしか着手していないか猜疑心が浮かぶだろう。都議選前の推薦書だ。

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