「都民ファースト」は本当か?ポピュリズムの申し子 小池都知事の都政を緊急検証

943views飛立知希飛立知希

このエントリーをはてなブックマークに追加
検証・小池都政

本書は、東京都議会議員選挙を控え緊急出版された小池都政の検証本だ。
東京都知事の小池百合子氏が推進してきた東京五輪関連事業の見直し、築地市場問題など都政がいかに施政されてきたかを問う。
だが、著者が本書で最も問題提起しているのは「原発テロ対策の不十分さ」だ。
原発問題は通常、国政の問題である。しかし都政とも決して無関係ではない。前々回の都知事選では、細川護煕元首相が脱原発を目玉政策にし小泉元首相が応援に回った。前回の都知事選でも鳥越俊太郎氏が「原発停止」政策を掲げた。
また小池知事の"盟友"の若狭勝衆院議員も「航空機テロ対策が不十分なので原発再稼働は慎重であるべき」と主張していた。若狭氏はテロの専門家だ。「非常にテロ対策としては弱いままに再稼働されているという面はあると思う」と著者の取材に答えている。
2017年4月28日の定例会見で小池知事は北朝鮮による弾道ミサイル発射が懸念されていることについて「Jアラート」の説明に終始しただけだった。
5月2日にはミサイル攻撃の恐れに対し原発の運転停止を求める声明を出した、脱原発弁護団全国連絡会共同代表の海渡雄一弁護士は「原子力規制委員会は『原子炉等規制法43条3の23に基づいて原発の使用停止を命じることができる』という権限がある。政府が真っ先に取り組むべき課題は『地下街に逃げなさい』と言うことではなく、原発停止を命じることではないか」と警鐘を鳴らした。
新潟県柏崎市刈羽原発や中部電力「浜岡原発」も250キロ圏で、茨城県東海村にも使用済燃料プールがある。都民にも緊密な問題だ。
著者は次のように提言する。「小池知事が『東京都エネルギー戦略会議 兼 北朝鮮ミサイルテロ攻撃対策検討委員会』に若狭氏やかつての"脱原発ドリームチーム"を再結集、原発稼働停止を含む原発テロ対策を取りまとめて官邸に申し入れをすれば、安倍政権への強烈な圧力になるだろう」と。
その"脱原発ドリームチーム"の候補者に著者は次の5名を選出する。
第1に小泉純一郎元首相。原発ゼロ社会実現を目指す小泉氏は「日本の原発テロ対策は世界一テロに弱い」と全国の講演を行脚する。
第2に世界で紛争処理の活動を続ける伊勢崎賢治·東京外語大教授だ。伊勢崎氏は「福島第一の原発事故はテロリストたちに工作員を潜入させて電源を喪失させるだけで事足りるというヒントを与えた」と警告する。
第3に原子力情報コンサルの佐藤暁氏。「テロ集団から原発を守るには「『140人から150人の兵士が必要』というのが世界標準だが、日本の警備体制は遥かに遅れている」と危惧する。
第4に冨澤暉·元陸幕長だ。「万一原発をテロゲリラに襲われたら、現在の自衛隊はテロゲリラ対策において警察の予備にしか過ぎない。相手を逮捕するのが基本の『治安行動」の延長だから『防衛出動』という個別的自衛権の範疇でのテロリスト掃討ができない」と防衛大綱を問題視する。
第5に原子力村と対峙した泉田裕彦·新潟県知事である。「メルトダウン事故は起きるという前提が世界の潮流に対し、日本は「メルトダウンがいかに起きないのかを必死で説明している」と指摘する。
著者は上記5名の力を結集せよと提言。
小池氏は都議選を前に自民党離党届を出し「都民ファーストの会」代表に就任して情報公開を旗印に安倍自民党との対決姿勢を鮮明にした。だが本書を読めば、元防衛相として鑑みてもいかに原発政策が置き去りにされているか。メディア受けする政策にしか着手していないか猜疑心が浮かぶだろう。都議選前の推薦書だ。

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く