時間や空間の尺度は座標系ごとに変わる!特殊および一般相対性理論についての書評まとめ

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特殊および一般相対性理論について

時間や空間の尺度は座標系ごとに変わる

 我々は物事を見るとき、いつ・どこで見たかを記録することができる。このように「いつ」という時刻と「どこ」という位置をあわせて「座標」という。その座標の集まりを「座標系」といい、例えば地上で色々な時刻に色々な位置を占めることができるので、地上は一つの座標系である。時刻と位置に関しては、日本では標準時を基準に、位置はたとえば日本橋から何キロメートルと決めている。
 しかし、これは日本でのことであり、地球の上のことである。地球は自転しながら太陽の周りを公転している。時刻や場所を決める基準が宇宙にもあるのだろうか。

 現在、時刻は地球の運動をもとにして原子の振動周期で決めているが、宇宙に絶対的な尺度となる時間が存在してそれを基準にして色々な座標系の時刻が存在していると考えていた時代が百年足らず前まであった。同じように空間的位置に関しても絶対的な尺度となる静止空間が存在してそれを基準にして色々な位置が決まると考えていたのである。その考え方を明確に示したのは17世紀のニュートンであるが、そのような考えは200年余り続いたのである。
 つまり、時刻や位置は座標系のとり方に無関係で普遍的な存在であった。例えば、地上にある棒の長さは、一定速度で走っている電車から見ても同じ長さであり、地上での時計の進み方は電車の中の時計の進み方と同じなのである。
 アインシュタインは「特殊相対性理論」によってそのような考え方を覆し、「時間や空間の尺度は座標系ごとに変わる」という革命的な考え方を提出した。このことは物理学的には現象の起こり方が光の速さに近い場合に限られるが、思想や哲学の世界、日常生活におけるものの見方にまで大きな影響を与えた。
 また、この理論の帰結のひとつとしてエネルギーと質量が同じものであることが導かれ、原爆の製造や実際の投下、原水爆の核抑止力の冷戦構造の形成、原子力発電の普及などをもたらすことになった。

 本書の書名は『特殊相対性理論』となっているが、正確には1905年に書かれた2つの論文「運動物体の電気力学のために」と「物体の慣性はエネルギーの内容に依存するか」の内容を特殊相対性理論と呼ぶ。

 第1論文では、電気力学(電磁気学に同じ)の方程式(マクスウェル方程式と呼ばれる)を運動する物体に適用するが、その際に運動する物体を記述する座標系(この理論の場合はニュートンの慣性の法則が成立するという意味で慣性系のことを指す)に注目し、マクスウェル方程式が静止座標系でも運動座標系でも同じ形で成立することを原理としておく(相対性原理)。この原理と、光の速度が光源の運動状態に関係なく一定の速さであるという光速度不変の原理の二つの原理から特殊相対性理論を作り上げる。つまり、電気力学の方程式が各慣性系で成立するように時間と空間を座標ごとに変化させ、ニュートンの絶対空間や絶対時間のような座標系の選び方にかかわらない普遍的な空間や時間を考慮する必要がないという意味で時間空間概念を相対化したのである。
 その結果、ある慣性系から等速度運動している別の慣性系を見ると、その運動している系にある物体の長さは縮み、その系の時計はゆっくり進む。また、どれだけ大きな速度を加えあわせても光速を越えることはなくなる。

 第2論文では、有名な(質量)×(光速の二乗)がエネルギーになる式が導かれる。ただ、エネルギーの方が質量よりも基本的な存在ととらえられ、質量の変化分とエネルギーの変化分の関係が定式化されている。
 特殊相対性理論は発表後直ちにその真価が評価されたわけではなく、当初はほんの数人の物理学者が注目したに過ぎない。物理学者の間で話題になるのは1909年以降で、H・ミンコフスキーがこの理論を4次元幾何学で定式化してからである。15年に一般相対性理論が完成してからは、こちらの理論は特殊相対性理論と呼ばれる。「特殊」という意味は、この理論の成立する座標系が互いに等速度で運動するような最も簡単な「慣性系」で成り立つからである。一般相対性理論になると、そのような制限は取り去られどのような座標系でも成立する理論となり、現代の宇宙論の基礎となっている。

感想

 アインシュタインによる相対性理論の解説です。文章は少々堅いですが、アインシュタインの特殊から一般相対性理論までの思考過程を汲み取ることができます。所々のアインシュタイン特有の哲学も面白いです。    

特殊および一般相対性理論について

特殊および一般相対性理論について

  • アルバートアインシュタイン

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