フィールドワークで得たデータからいかにしてストーリーを紡ぎ出すか

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質的データ分析法―原理・方法・実践

研究者の役割

「現場の言葉」を「自分の言葉」で「理論の言葉」につなぐ架け橋
 ・現場の言葉:対象者たちの意味世界
 ・自分の言葉:研究者の個人的な意味世界
 ・理論の言葉:研究者コミュニティの意味世界

質の高い質的論文の条件

・1つ1つの記述、分析が、個人的な印象だけでなく、しっかりした根拠に基づいている
・議論や主張に複数の資料、データによる裏付けがある
・具体的なデータと抽象的な概念の間の対応が明確。

薄い記述にありがちな問題

1.読書感想文型・・・主観的な印象や感想が中心となっている。
2.ご都合主義的引用型・・・都合の良い証言ばかりを引用した記述が目立つ。
3.キーワード偏重型・・・キーワード、概念を中心にした平板な記述になっている。
4.要因関連図型・・・モデルの根拠となるデータ、資料がほとんど示されていない。
5.ディテール偏重型・・・ディテールは豊富だが、全体を貫く明確なストーリーが欠如。
6.引用過多型・・・生のデータ、資料を十分な解説を加えず延々と引用。
7.自己主張型・・・主観的体験が前面に出過ぎて、研究対象の姿が見えない。

質的データ分析のアプローチ

・帰納的アプローチ
 - データから物事、出来事の概念モデルや説明を示す
 - 先行研究が少なく探索的に研究を行う場合に有効
・演繹的アプローチ
 - 仮説の確からしさを実際のデータで確認する
 - 既存の理論が有効な場合、先行研究の妥当性を検証する場合、仮説を検証する場合に有効

質的データ整理のためのマトリクス

A. 文書×コードマトリクス
 - 行方向にデータ源、列方向にコード(変数)、要素にデータを配置

B. 事例×コードマトリクス
 - 行方向に事例、列方向にコード(変数)、要素にデータを配置
 - 欠損データのチェック、複数事例による裏付け、反証事例による検証、事例のタイプ分けに有用

・こうしたマトリクスを用いると、様々な比較を行いながら入念な分析ができる
 (例:コード同士、コードとデータ、データ同士、事例同士)
・1つの文書-コードマトリクスから、複数の事例-コードマトリクスを作ることができる

概念モデルで表現できること

 階層表示:類似性、包括関係、順序
 図解表示:類似性、包括関係、順序、因果関係、対立関係、友好関係、関係の強弱

伝達方法の特徴

・口頭
 - 言い間違いや順番に混乱があっても、受け手が頭の中で再構成して理解する
・図解
 - 論理的に一貫していなくても、受け手は何となく理解する
・文章
 - 受け手は最初から最後まで順を追って理解する

質的データ分析の手順

①脱文脈化
 A. 帰納的アプローチ
  ①-1 データにテーマに沿ったコードを割り当てる(オープンコーディング)
     - 何が起きているか?
     - どのような理由で起きているか?
     - 登場人物が何をしているか、言っているか?
     - 行為や発言の背景にあある意図は何か?
  ①-2 より抽象的なコードにまとめる(焦点的コーディング)
B. 演繹的アプローチ
  ①-1 抽象的な用語で、分析的コードのリストを作る
  ①-2 抽象的な言葉の具体例として記述的コードを作成し、分析適コードとの階層構造にする
  ①-3 データを当てはめながら、各コードを見直す

②再文脈化
 ②-1 データを事例-コードマトリクスで整理する
 ②-2 概念モデルを作る
 ②-3特定のテーマをもつストーリーに組立てる

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