人口減少イコール経済停滞ではない。 悲観論はやめ、新たな経済成長を考えよう【人口と日本経済】

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人口と日本経済 - 長寿、イノベーション、経済成長 (中公新書)

経済学は人口をいかに考えてきたか

日本は文字通り、かつてない人口減少を迎える。

  • 2015年の1億2711万人から、2110年には4286万人へ。わずか100年で3分の1に!
  • 一方で、地球全体ではいまだ人口の増加が課題

経済学者にとっても、人口は重要な課題だった。

  • アダム・スミスは、人口の増加数イコール国の繁栄度と考えた
  • 一方マルサスは、食料生産増より人口増のスピードが圧倒的に速いと主張。人口抑制のため貧者の救済に反対(!)した
  • ケインズは、富裕層の投資が期待できない時代での人口減少に危機感を抱き、所得の再分配で消費需要の確保を唱えた

人口減少と日本経済

「人口が減れば、経済成長は見込めない」は嘘。

  • 高度成長期、日本の労働力人口増加率は年1.2%程度。なのにGDP成長は年10%弱だった

では成長を生むのは何か? 答えはイノベーション(=技術革新、労働生産性の上昇)だ。

  • 1950年ごろ、就業者の半数は第1次産業だった。2次、3次産業へシフトすることで劇的に豊かに
  • 技術革新だけではない。スターバックスのような、旧来の喫茶とは違う「新たな付加価値」の提示も一種のイノベーションと言える
  • 「日本は輸出で成長した」は錯覚。実は戦後の急速な内需拡大(=電化製品や車など)が要因

先進国の成長は人の数では決まらない。イノベーション次第である。

長寿という果実

戦後最大の日本の成果は「長寿」を手に入れたことである。

  • 1940年代の日本の平均寿命は男性で50歳。アメリカ(65歳)に大きく劣っていた
  • 延びた要因としては、所得の上昇、医療の進歩、国民皆保険(1961年施行)

明治時代、乳児の10人に1~2人は亡くなっていた。

  • 所得の上昇や皆保険が、出産時や高齢者に対する高度医療の享受を促す結果に

格差を表す指標「ジニ係数」をみると、先進国は戦後格差が急速に縮まった。

  • 所得の平等化が、乳幼児死亡率を大きく下げたと思われる

昔はよかった、ではない。数値を見る限り、戦前の日本は大問題だった。

人間にとって経済とは何か

一般に「GDPの成長」が我々の生活を健康で豊かにしてきた。

  • その成長はイノベーションによってもたらされる

GDPの成長を邪魔するものは何か。それは「需要の飽和」。

  • とくに食料は飽和が速い。1人当たりの食べる量には限界があるから。裕福な国ほどエンゲル係数が低いのがその証拠
  • 需要が飽和するのは食料だけではない。他分野の産業も新しい価値を生み出さなければ衰退
  • ケインズは需要の飽和を公共投資と低金利で打開せよと説いた。一方、シュンペーターはイノベーションによる需要開拓を主張

ハイブリッドカーや大人向け紙おむつは、新たな需要開拓の例である。

  • このようなイノベーションがさらに経済を成長させ、生活を豊かにする

経済成長の追求を毛嫌いするがゆえの、ロマン主義的なゼロ成長肯定論には賛成できない。

  • 経済成長を敵視するな。成長が、便利・安全・豊かな暮らしを実現したとことを素直に評価せよ

これからの超高齢化社会では、まだまだ開拓すべき産業やイノベーションの要請がある。

  • 企業は、保守的(投資抑制)にならずに未来へ進んでいくべきだ

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