超人伝説譚はいかにして生まれるか

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安倍晴明伝説 (ちくま新書)

陰陽五行説

  • 混沌から生じた陰と陽の二つの気が交わり、太陽と月、その他の星が誕生し、地球には木火土金水という五元素が生まれた。

  • 五元素は五気として、色なら青赤黄白黒、方位なら東南中西北、季節なら春夏土用秋冬として世界を生成、循環した。

  • 陰陽五行が順調に循環すれば世界は正常だが、乱れてしまうと世界に異変が起こる。

陰陽道

  • 陰陽五行説が古代中国の方術と道教、風水、密教、宿曜(すくよう)、呪禁(じゅごん)などと結びつき、日本に伝来して体系化されて発展したもの。

陰陽師

  • 陰陽五行思想を取り入れた呪術体系である陰陽道に基づき、呪法をおこなった呪術者。

  • 星の動きから何らかの前兆を感じ取って対策を立てるなど、朝廷内で天文や暦、卜占を担当していた。

  • 奈良時代以降に整えられた陰陽寮という役所に勤務していたため、今で言う公務員だった。

  • 陰陽寮には日常の実務を執り行う陰陽師と、陰陽師になるための勉強をしている者を指導する陰陽博士がいた。

式神(識神)

  • 陰陽道には、物に内在する呪力を利用するという考えや、陰陽道世界の下級の眷属神を操るという概念があり、それらが創作話の発展に伴って大衆にわかりやすいようにビジュアル化されていったもの。

安倍晴明

  • 生没年は確定しておらず、誕生地も香川、大阪、茨城の三説あり、未確定。

  • 晴明が信頼できる文献に登場するのは彼が四十歳の時で、その時点で未だに陰陽師になるために勉強している、今で言う学生だった。

  • その時点で当時の天皇に呼ばれて意見を求められるほど素質を見込まれており、才覚があったことは確か。

  • 頭角を現してからは朝廷の信頼も厚かったが、ミスをすれば他の者と同じように始末書を書かされるなど、やはり一役人に過ぎず、特殊能力を持った超人とは見られていなかった。

伝説の独り歩き

  • 平安時代末期に道教が流行して中国の神仙譚が数多く流入し、陰陽師の存在がそれまでの一役人から超常的なものに脚色され始めた。

  • 特に晴明を祖と仰ぐ陰陽道の一派は、自分たちの正当性をアピールすることを目論んで、その流行に便乗して晴明の超人伝説譚を積極的に流布した。

  • 修験道の山伏たちは、晴明は熊野の那智山で修行をしたから神通力を体得したのだという話を広め、世間の興味を山岳修験に向けようとした。

  • 稲荷神社の信奉者たちも、晴明の超人的な力は稲荷神あってのものであると主張するため、その眷属神である狐が晴明の母だったという伝説を創作した。

現代人の思い込み

  • 晴明を祀る神社や遺跡は、西は九州の福岡と四国の香川まで、東は茨城までしかない。

  • 仏教や神道に比べ、陰陽道は全国に広く受け入れられたわけではなかった。

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