謎解きは遺伝子とアイデンティティー

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重力ピエロ

遺伝子を取り扱う企業に勤める兄の泉水と、グラフィティアートを消すことを生業とする容姿端麗な弟の春。英語に訳すせばどちらも"spring"となる彼らが、個人のアイデンティティや社会における矛盾に苦しみ、それに迫る。歴史上人物や文学からの機知に富んだ引用を交えながら街で発生する連続放火事件と世の中の「正解」を解き明かしていく。シリアスな境遇に置かれる兄弟ではあるが、それすらも忘れさせるような子気味良いテンポで繰り広げられる家族の会話に引き込まれること間違いないだろう。誰もが抱える現実と感情との狭間に生じる「矛盾」を描いた現代版『罪と罰』とも称される。”矛盾はどこにでもあるよ”—春が作中に述べたこの言葉をはじめとし、読者は登場人物と共に人生に立ちはだかる「矛盾」と向き合うためのヒントを得られるのではないか。

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  • 伊坂幸太郎

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