調剤過誤事例と防止策

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新人薬剤師・薬学生のための医療安全学入門-調剤過誤防止から副作用の早期回避まで-

目標

代表的な医療事故訴訟あるいは調剤過誤事例について調査し、その原因について指導薬剤師と話し合う。

ヒューマンエラーと調剤過誤

「人は間違いを起こす」といわれている。薬剤師の調剤行為では、事故防止対策を講じることによりミスを限りなくゼロに近づけることは可能である。
日本薬剤師会ではミスを2つに分類し、健康被害がなかったミスをヒヤリ・ハット事例、健康被害が生じたミスを調剤事故と定義し対策を講じている。

医薬分業での監査(鑑査)機能

薬剤師の調剤行為は、大きく分けて医師の処方監査と薬剤の調製・交付から成る。ミスを減らすために、通常2回の繰り返しチェック(ダブルチェック)が行われる。さらに、限りなくミスを少なくするためには、1回目と別の人が2回目のチェックを行うクロスチェックが重要。
医薬分業の利点は、医師の処方を薬局薬剤師がクロスチェックすることにある。

深刻な調剤事故

・調剤薬鑑査不備による事故
 2010年4月、埼玉県の薬局でマグミット錠を自動錠剤分包機で一包化調剤する際、毒薬であるウブレチド錠が一包化され、これを服用した患者が死亡した。
・処方監査不備による事故
 2005年10月、東京都港区の病院で、医師がベナンバックス(ペンタミジンイセチオン酸塩製剤)を5倍量処方し、薬剤師がそのまま調剤、患者が死亡した。

ミス・過誤・事故の防止

日本薬剤師会では調剤過誤防止に向けて、「薬局・薬剤師のための事故防止マニュアル」を作成し事故防止対策を講じている。「人は間違いを起こす」ということを忘れてはいけない。しかし、人的調剤ミスは、薬剤師の十分な教育や訓練などにより減らすことが可能。
人はミスを犯すものであることを前提にミスの原因を分析し、その防止策を立てることが重要である。薬局内で生じたヒヤリ・ハット事例や過誤事例を隠さず報告し、組織的にその原因を探求し、事故防止対策を立てることが調剤事故を防ぐ手立てとなる。

調剤事故の原因と対策

調剤薬鑑査不備による事故事例は、調剤薬鑑査を行わなかったために分包機の設定ミスによる誤調剤をチェックできなかったことと、過誤に気付きながらも管理薬剤師が患者への服薬中止や調剤薬回収などの安全対策を講じなかったことが原因とされている。
調剤薬鑑査においては、薬剤の取り違えの可能性を踏まえ、処方せんに基づく適正な調剤が行われていることを確認しなければならない。
一方、2000年1月には、神奈川県の薬局でセルテクトDSの散剤ビンにセレネースを誤って充填し、5人の患者が入院する事故が起きた。散剤の充填を行うときは、複数の薬剤師が勤務する薬局の場合は2人の薬剤師同士で確認しながら、1人薬剤師の薬局では充填前後での薬品名のダブルチェックが必要。
処方監査不備事例では、病院の運営母体、処方医、調剤にかかわった薬剤師3名の計5者に賠償
責任が認められ、賠償額も全員同額となった。被告側は、「オーダリングシステムの警告機能が正しく機能していないため、薬剤師が過量投与に気が付かなかった」と主張したが、原告は、「オーダリングシステムの警告機能に頼るのであれば、薬剤師という資格は必要ない」と指摘した。薬剤師法第24条の疑義義務は、処方せんの用法・用量などの確認も含まれると裁判所が判断した。この事故は病院で起こったものだが、薬局薬剤師においても同様な義務が課せられる。特に、薬剤師の勤務していないクリニックなどでは、薬局薬剤師のクロスチェックによる処方確認が患者の安全確保に不可欠なものとなる。

感想

監査:処方せん中に疑わしい点を確かめる行為
鑑査:調製した薬剤が正しく、患者に最適であるかを確かめる行為(調剤指針第13改訂)

みなさんは、知識と経験の少ない学生です。知らないこと、できないこと、一度では理解できないことなどがたくさんあると思います。
分かったふりをして中途半端に実務を行うことが一番危険です。大学の試験で間違った答えをしても、本人の点数が悪くなるだけで、他人に迷惑をかけることはありません。
しかし現場でのミスは、たとえ実習生であっても国民の薬剤師に対する信頼低下をもたらしかねず、最悪のケースでは患者の生命にかかわります。分からないことがあったら、遠慮なく指導薬剤師に確認しましょう。

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