情報の評価

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薬学生のための病院・薬局実務実習テキスト2017年版

目標

医薬品情報、薬歴簿から得られる患者情報を吟味し、適切に評価できる

EBMについて

EBMとはEvidence-based medicinの略で、「根拠に基づいた医療」を意味する。EBMを実践するためには、患者から得られる情報と文献などから得られる情報を統合して、個々にあった治療法を見出すことが必要である。
患者から得られる情報は、薬剤服用歴管理簿に集積されており、文献などから得られる情報は原著論文や症例報告などが挙げられる。もちろんインタビューフォームや添付文書も重要な情報源で、これらの情報を吟味して患者にあった医療なのかを判断する。

情報の信頼性に影響を与える因子

文献などから得られる情報(データ)が患者に必ずしも当てはまるとは限らない。情報を正しく吟味(評価)するには、バイアス(偏り)や偶然を排除し、その患者に本当に必要な情報かを判断しなければならない。
例えば論文では、他の治療薬との比較検討をしないで、既存のものより優れていると思い込むことがある。これらを防ぐには、被験者の選定方法や研究デザインに工夫が必要。また、データの見極めには統計学も役立つ。薬剤師は多くの情報を患者や医療関係者にフィードバックしなければならないので、これらの知識を身につける必要がある。
一方、薬剤師も自分自身の行為について吟味しなければならない。患者の問題点を抽出できたか、副作用のサインを見抜いたか、患者に先入観を与えていないかなどが挙げられる。薬歴に、「アドヒアランス良好」と記載されているのに「薬が余っているので、今日はいらない」と患者から訴えがあれば、自分自身が集めた情報の信憑性を疑わなければならない。

批判的吟味

批判的というとネガティブなイメージがあるが、医療に携わる者にとって必要なことは、その情報が本当に信頼できるのか、臨床に役立つのかを見極めることにある。「批判的」に吟味する情報は、論文などから得られる情報だけでなく、患者から得た情報も含まれる。
例として、インタビューフォームや論文から得られる情報を吟味するポイントを示す。
治療効果 : 対象患者は適切か(軽症か、重症か)
研究デザインは適切か(二重盲検か、オープンか)
エンドポイントは適切か(評価項目は臨床上重要なものなのか)
副作用 : 種類と頻度、内容、経過、因果関係が適切に示されているか
 軽症の患者に対する情報が欲しいのに、重症例ばかり集めた論文は参考にできない。まずは、自分が知りたい情報が何かを整理してから情報を収集するようにする。目の前の患者に対して妥当かどうかの吟味が必要。

薬歴簿から得られる患者情報の吟味

次に、自分自身が集めた情報の吟味について考える。最も重要なのは患者が抱える問題の抽出で、「いつもと同じ薬なので問題はないだろう」といった先入観を排除し、患者と接することが必要。
論文を吟味する時と同様、人は自分の都合の良い情報ばかりを受け入れる傾向にある。患者に「薬をきちんと飲んでいるか」と質問し、「飲んでいる」と回答をもらうと薬剤師は安心してしまう。高血圧症なら血圧を、脂質異常症なら臨床検査値を聴き出し、本当にアドヒアランスは良好なのかと疑うことも必要。
もし効果不十分が疑われるなら、「薬は余っていないか」と質問すれば「少し余っている」と真の情報が得られるかもしれない。また、投与日数と受診間隔を比較しアドヒアランス良好で効果不十分であれば、薬効に影響する併用薬や健康食品があるかもしれない。重要なことは、自分自身に対する批判的吟味を忘れないことにある。

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