3.11の教訓を生かせるか? 誰もが知るべき「首都直下地震」の基礎知識

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首都直下地震 (岩波新書)

 2016年2月の刊行で、熊本地震(2016年4月)は発生しておらず、その情報は含まれていない。
 地震の予測に関する説明もあったが、プレートに関する話や活断層のことなど、私には難しかったので読み飛ばした。いずれ詳細な本を読みたい。
 また住民レベルの防災についても書かれているが、このまとめからは割愛する。

「首都直下地震」とは

 東京周辺で発生する地震のうち、首都機能に甚大な影響を及ぼす地震をさす。「首都圏の真下で起こる地震」という意味ではなく、海底であろうと、関東周辺であろうと、東京に深刻な被害があれば「首都直下地震」である。2013年の内閣府の想定では、19もの地震が列挙され、これらを総称して「首都直下地震」と呼んでいる。

三つの想定

2004年の内閣府の想定

 18の地震を想定し、この中で最もダメージが大きいのは「東京湾北部地震」だとする。
 時間帯ごとの四つの場面で被害を予測したところ、もっとも被害が大きいのは「冬の夕方6時」とされた。家庭や飲食店で火が使われて火災発生の恐れが高い上、終業・帰宅時間にあたるので駅や繁華街に多数の人が滞留し、被害が拡大するためである。

2012年の東京都の想定

 東日本大震災(2011年)を受けて策定。

2013年の内閣府の想定

 19の地震を想定。この中で最もダメージが大きいのは「都心南部直下地震」だとする。
 火災が複数個所で発生し、約二日間継続する。
 犠牲者は首都圏全体で2万3千人、その七割が火災による(死者数の想定は04年の倍)。
 当日は音声通話がほとんど使用できず、電子メールは遅配が生じる。

予測は難しいが、確実に起こる

 関東で発生する地震には周期性が見られない。いわばランダムに発生する。
 このため、いつどこで発生するかという予測は、非常に難しい。
 しかしいつか起こることは確実で、私たちの一生に一度は首都圏のどこかで地震が起こると考えたほうがよい。

二つの不確実性

財政は破綻するか

 現在の想定では日本の財政が破綻するとは考えにくく、世界経済への影響も限定的だという意見がある。しかし想定規模をはるかに上回る地震が発生した場合、破綻の可能性を完全排除することはできない。

復興の供給が追い付くか

 特に建設業において、被害の大きさが生産力を超過すれば、住宅やインフラ、企業設備などの再建が、スムーズに進まない可能性がある。
 首都直下地震で想定される応急住宅の需要戸数は約162万棟だが、2014年の日本全国の住宅供給数ですら、その六割の約88万棟でしかない。

「思い込み」は禁物

「西日本は地震が少ない」??

 ここ百年ほどを見ただけでも、1891年濃尾地震(M8.0、死者7273人)、1945年三河地震(M6.8 、同2306人)、1948年福井地震(M7.1、死者3769人)など、西日本でも大きな震災が発生している。
 震災の記憶は、かくも失われやすい。

「大地震のあとだから、しばらく大きな地震は来ない」??

 2004年スマトラ島北部西方沖地震では、七年半後にM8クラスの余震が起こった。過去に関東で発生したM7クラスの大地震では、二年続けて発生したケースもある。

余談・・・過去から見えてくること

・関東大震災でも太平洋戦争でも、東京は甚大な被害を受けたが、その後の復興で人口は増加した。
・安政江戸地震(1855年)では、日比谷から丸の内周辺で家屋倒壊の被害が大きかった。これは地盤が軟弱なためで、現代の東京でも同様の被害がありうる。

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