仮想通貨が描き出す驚異の未来ーー世界を変えるブロックチェーンの可能性

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仮想通貨革命---ビットコインは始まりにすぎない

ビットコインをはじめとする暗号通貨(仮想通貨)の仕組みを解説する。

電子マネーとどう違うのか?

仮想通貨の根幹は「ブロックチェーン」という仕組みである。ブロックチェーンはP2Pのネットワークで支えられ、またマイニングという作業によって二重取引や不正が防止される。つまりIT技術でもって「正しい取引記録」がつくれるというのが仮想通貨の本質である。
電子マネーとは異なるのは、管理主体が存在しない点だ。電子マネーは管理自体に大きなコストがかかるため、それを運営する事業者は、だいたい別の本業を持っており、かつまた電子マネーを主たる収入源にしていない。コストや採算性などの面から、筆者は「一般的な電子マネーが将来さらに発展するかどうかは、疑問である。少なくとも、今後の飛躍的な利用増ということは考えられない」と述べている。
仮想通貨は、運営コストも送金コストも限りなくゼロに近づける。これは決済という行為を変え、eコマースや国際送金を変える。コンテンツを変え、経済を変え、そして社会を変えていく。

ブロックチェーンの応用で、こんなことまで実現できる!

①スマート・コントラクト:ブロックチェーンを金融資産の取引一般に拡張。株式や債券が、証券会社や証券市場を経ずに直接取引されるようになる。これにより、証券関係のビジネスが消滅する。
②信託や遺言への応用も考えられる。
③スマート・プロパティ:耐久消費財(自動車や電機製品等)や不動産の所有権の移転に用いる。賃貸不動産に応用し、家賃を払わなければ部屋の鍵が作動しないようにする、といったことも可能になる。
④DAC(Decentralized Autonomous Corporation:分権化した自動企業):組織の運営を自動化する。中央集権的なトップの管理者がいなくても機能する「自動企業」が誕生する。
⑤イサリアム(Ethereum):これが実現すれば、個人が債券を発行できたりするようになる。
⑥存在証明:サイバー空間でアイデンティティを確立する。インターネット上で選挙の投票も容易になる。

歴史の教訓:IT革命すら「虚構」と軽視する声があった

かつてのIT革命の際にも、これを疑う者たちがいた。本書で名前が挙がっているのは、クリントン政権の財務次官ローレンス・サマーズ、ポール・クルーグマン、ノーベル経済学賞者のロバート・ソローらである。たしかに90年代前半のインターネットは、回線速度は遅く、常時接続もできず、とても実用的とは言えなかった。しかし、「パケット通信」という技術の革新性を知っていれば、その評価は異なるものとなっただろう。
ビットコインを「幻想」だとしたり(バフェット)、「バブルに過ぎない」と過小評価する見方(ゴールドマン・サックス)もあるが、そうした意見はブロックチェーン技術を理解した上での発言ではない。
仮想通貨を肯定するにしても否定するにしても、まずは仕組みを理解することが大切だ。

日本はこのまま乗り遅れるのか

マウントゴックス社の破綻などで、日本では仮想通貨を「胡散臭いもの」とする見方が蔓延した。一方で、その革新的なその仕組みや、世界での受け入られ方が解説されることは稀で、日本国内での仮想通貨への理解度は極めて低い。

日本はIT革命に乗り遅れた。ファイナンス技術の革命にも対応できなかった。その結果、日本の経済構造は変わらなかった。通貨革命にしても、日米間の差は、すでに絶望的なほど開いている。いま通貨革命に対応できなければ、その遅れは、決して取り戻せないものになるだろう。(P209)

感想

現在の通貨制度が当たり前のものだと思いがちだが、本書ではその問題点についても詳しく解説してあって、目から鱗が落ちるようだ。仮想通貨は、現在の通貨制度の欠点を改めるための革新的なツールなのだと納得できる。
本書は2014年6月に刊行されており、この時点でこれほどの分析をしていた筆者の慧眼に、平伏したくなる。「仕組みを理解すること」の大切さについても学ばせてもらった。識者の意見を見聞きする際には、「仕組みを分かっているかどうか」で判断するのも一つの方法かも知れない。

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