子育て本の決定版! 人間として最も大切なものは何か?

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行儀よくしろ。 (ちくま新書)

 教育・子育ての本というと、結局は学力の向上を目指す内容であることがほとんどである。実際、日本は学歴社会だし、いい学校に入ることは生活の安定につながるのだから、子供の学力向上を願うのは親として自然の情ではある。
 しかしそれでいいのだろうか?
 筆者はそんな「学力偏重主義」に対して「学力と知力は別のもの」とバッサリ。また、「いい暮らしをするため」だけの学力指向や、そうした欲だけの姿勢しか子供に見せられない大人の在り方を批判している。

【至要】子供に教えるべきこと

 例を挙げればきりがないほど、学校で教わることのできない「生きる知恵」は数限りなくある。学校に期待しすぎる人は、そうした学校以外の教育を軽視しているのだ。
 教育は学校のものだけではない。むしろ、親や、社会がする教育というのも非常に重要である。

(一)行儀・・・日常の振る舞いを節度ある美しいものにする。作法にのっとって食事したり、敬語をきちんと使ったりする。

(二)社会性・・・他人を尊重すること。公共の場などで人に迷惑をかけないこと。

(三)我慢・・・ほしいものすべては手に入らない。それは不幸なことではない。

(四)自分に誇りを持つ・・・勝ち組になることや、経済的な成功が、人を測る尺度ではない。人間の価値は、美しくちゃんと生きているかどうかである。

経済的な成功の意味

金持ちは幸せであり、経済的に苦しいことは恥ずべきことであり、不幸なのか。

そんなの変ではないですか。それだったら国民の大多数が不幸、なんていう国があることになってしまうではないか。

経済を幸せの尺度にしてはいけないのだ。貧困状態から復興をめざし、経済繁栄を手に入れてきたことはよくやったと評価すべきことだが、経済のしもべになることはないのだ。

褒めてやろう

こらっ、行儀よくしなさい、と毎度叱られるのも教育効果がないわけではないが、それよりいいのはほめてやることだ。 行儀よくしてた時に、すかさず、行儀がよくておりこうそうに見えたわよ、とほめてやってほしい。こういう場所でのルールをちゃんと守って、偉いねぇ、と言ってやるのだ。 時には、「あんたはお行儀がいいから、安心してどこへでもつれていけるわ」と言ってやろう。

感想

 子育ての本というのは、最近のものになると、脳科学やら統計学やらを駆使して論理を組み立てようとする傾向がある。しかし結局の所、そこで目指されているのは「いい学校に入ること」であることがほとんどだ。それは人間の価値や幸福とは関係ないのでは、とつねづね疑問に感じていたのだが、清水義範先生の本書を読んで、まさに溜飲が下がる思いがした。
 また、本書は筆者なりの文化論でもあり、美とは何か、義とは何か等々、大いに示唆に富む。事例も豊富で、読み物としてもとても楽しい。
 イランを訪ねた際のくだりがとても印象的で、現地を訪ねてみたくなった。

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