ドラッカー「ネクスト・ソサエティ」(2002年)にある未来予測一覧

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ネクスト・ソサエティ [kindle版]

 企業や組織だけでなく、社会そのものを見つめ続けたドラッカー。これから起きる変化と、来るべき社会のあり方を分析する。2002年刊行。

◾️少子高齢化◾️

年金は減る

遅くとも2030年には、先進国では退職者が退職の恩恵に浴せるのは70代半ばということになる。年金の額も少なくなる。(略)。すでに若年者と中年者の多くが、自分たちの年金の財布が空になることを懸念している。いずれの国においても、政治家だけが、現行の年金制度を救える振りをしている。第2部第1章 社会を変える少子高齢化(2002年)

移民受け入れで何が起こる?

 少子化に伴う労働力不足で、日本でも移民の受け入れが必至。ただし、そのためには、彼らの再教育のために巨額の資金を必要とする。 これは規模として史上初の経験となり、何がもたらされるか未知数である。

若者文化は続かない

◾️知識社会がもたらすもの◾️

はてしない競争社会

 知識は相続できず、誰もがゼロから自力で獲得しなければならない。そして今日、知識には誰でもアクセスできるため、万人は平等になる。 知識社会は、社会上方への移動が無制限になり、誰もが成功者たることを期待される。そして、勝者がいれば敗者がいる。 プレッシャー、敗北への恐怖、それに挫折感と、非常なストレスにさらされる社会が到来する。

社会人の継続教育が成長産業に

 知識は急速に陳腐化する。そのため、定期的に学び直す必要がある。知識労働者のための継続教育こそが、ネクスト・ソサエティにおける成長産業となる。

全体として知識労働者の労働可能年限のほうが、雇用主たる企業の寿命よりも長くなる。歴史上初めてのことである。これからは誰もが、高度の知識、しかも専門化した知識をもたなければならない。その結果、高等教育の重心が、若者の教育から成人の継続教育へと移行していく。第2部第5章 ニューエコノミー、いまだ到来せず(2002年)

◾️製造業が保護主義の対象に◾️

第二次大戦後、先進国では農業物価格と農業人口が1%減少するごとに、補助金が2%増額した。同じことが製造業にも起こる。世界は自由貿易には向かっていない。自由貿易に向かっているのは情報産業だけである。財とサービス、特に製造業については保護主義化が進む。雇用が減れば保護が増えるのは当たり前である。農業で起こったことであり、製造業でも起こることである。第2部第2章 爆発するインターネットの世界(2001年)

◾️IT革命の行方◾️

予測できない

 印刷革命の当時、世俗的な本の出現など予測できなかったし、産業革命の当時は、電報、写真、公衆衛生の出現は予測できなかった。そしてIT革命からも、いかなる新産業が生まれ、いかなる社会制度、社会機構が生まれるかは分からない。

新技術の誕生

しかし、絶対とまではいかなくともかなりの確率をもって予測できることがある。それは今後20年間に、相当数の新産業が生まれるであろうことである。しかもそれらのほとんどは、IT、コンピュータ、データ処理、インターネット関連ではないであろうことである。このことは歴史の先例が示している。すでに現れつつある新産業にも見られるとおりである。バイオであり、養殖である。第1部第1章 IT革命の先に何があるか(1999年)

◾️国民国家はしぶとい◾️

 カント、マルクス、バートランド・ラッセルらが、約200年にわたって「国民国家の死」を予告してきた。しかし、今のところ滅びていない。 そしておそらく、その中身は変貌しても、今後もしぶとく生き残る。
感想

 ドラッカーと言えば、マネジメントで有名だが、社会の在り方の関する研究も非常に鋭い。
 本書では「技術革新が格差を生む」という指摘があり、産業革命のころの経済格差の方が、現在の格差よりも大きかったという見方が紹介されている。言ってもしょうがないことだが、ぜひトマ・ピケティと論争してほしかった。

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