効率的で生産的な職場づくりを目指す名著「部下を定時に帰す仕事術」

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部下を定時に帰す仕事術 (ポケット・シリーズ)

 この本に説得力があるのは、何より筆者自身がこれらの方法を実践し、ワーク・ライフ・バランスの実現につなげてきたためだろう。
 筆者は東レの課長時代、病気の妻を支えながら、家事と育児を背追い込まなければならなくなった。しかも二人の子供のうち、一人は障害を抱えているという。そんな公私にわたる「激務」をくぐり抜けた筆者の言葉には、読み手を納得させる迫力がある。
目次を見ただけでも「書類を探すな」「ムダな会議はやめろ」「上司に追いかけられるな」などと、興味を引く章題が並んでいる。
 その中でも、私が特に心に刻みたい箇所を要約する。

計画性こそが仕事を減らす・・・仕事の全体像をつかめ!

 筆者が引用しているある調査によれば、「1年で達成できるつもりの仕事のうち、半分を達成できた人は3割」だそうである。
 すなわち、行き当たりばったりや、出たとこ勝負では、絶対に予定通りには仕事は片付かない。仕事の目的を把握し、優先順位をつけ、自らデッドライン(締め切り)を決めて追い込んで行くことが欠かせない。
 筆者は、「私は『戦略的計画立案』は業務を半減させると信じています」と強調している。
やるべきでないことを選択し、手を抜くべきところは徹底して手を抜く。「プアなイノベーションより、優れたイミテーション」という筆者の言葉は、(表現もしゃれているが)業務を見極める上でも重要な指摘である。

自分の時間をどう増やすか?・・・何でも「一歩先の行動」を!

 スケジュールを考える際、自分が真に使える時間は、せいぜい全体の30%と見積もらなければならない。なぜなら、突然の来客や上司からの呼び出し、社内外からの電話といった割り込みが入ることによって、自分の時間のうち70%は霧消してしまうからである。
 仕事を効率的に進めて行く上では、まず「拙速」が原則である。すぐに後回しにしたり、「そのうちなんとかなる」などと考えていると、ただでさえ少ない時間がさらに減り、目標への到達はどんどん遠くなる。
 1日の流れでは、筆者は「仕事を午前中に片付ける」ことにしているという。印象的なのは、その日の重要な電話は、朝9時半までに済ませてしまうということ。10時になると、会議などで相手がつかまらなくなったりするからだという。
 また「昼食は11時50分に向かう」というのも面白い。そうすることで、店で待たされる時間が減り、結果的に30分から40分の時間の節約になる。
 本書はこうした「時間をつくるテクニック」が豊富である。

対立をおそれない

 意見のぶつかり合いのない組織からは、月並みのものしか生まれてこない。コンフリクトには大きなエネルギーがいるが、そこから生み出されるものは、そこに費やすエネルギーよりも大きな成果を生み出すことが多い。(ダイバーシティの重要性を説く文脈で)

勉強は大事だが、本は読みすぎるな・・・批判精神なき読書は有害!

 「多読家に仕事のできる人は少ない」と筆者は言い切る。(耳に痛い・・・)
 本を読む際には、その内容が正しいかどうか冷静に見極める必要があるが、本を多く読む人は、そうした「自分の頭で考える」という過程を怠りがちなためである。
 筆者はかつて、PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)を本で学び、その理論をそのまま事業戦略にあてはめ、のちのち後悔したことがあったという。こうした体験談も興味深い。(PPMは多くの本に引用されているので有名だが、ドラッカーなどもこれを批判している)

感想

筆者も言うように、本書の提言を実践して行く上では、リーダーの役割が非常に重要になる。末端の社員がいくら業務を効率化しようとしても、リーダーがそれを肯定しなければ、社員一人の努力は職場全体の非効率性に飲み込まれてしまう。
職場の働きやすさの向上のため、リーダーになるべき人にはぜひ本書を読んでいただきたい。

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