徹底した「最悪の想定」と、徹底した「万全の備え」ー全ての人に読んでほしい名著「民間防衛」

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民間防衛 新装版―あらゆる危険から身をまもる

 スイス政府編「民間防衛」(原書房)は、スイス政府が自国民に向けて、「外国からの侵略に備えよ」と説いた本である。想定が多岐にわたり、あらゆる事態に対する備えが考案されており、その徹底ぶりには舌を巻く。(核兵器の使用や、市民への拷問まで想定されている!)
 自然災害に関する本ではないのだが、避難所生活などに関する部分などは大いに役立つと思われる。

 内容が広範囲にわたるが、印象的な部分のみ抜粋する。
 なお、読んだのは本書の「2005年8月10日 新装版19刷」である。

避難所に必要なもの

 避難所で長期生活をする上で、そろえるべき物品が列挙されているが、この想定がまた徹底している。そして言われてみると「そのとおり」と感じる。
 以下、いくつかピックアップする。飽くまで一部にすぎない。
①椅子(これが冒頭に来るのが欧米らしいと言うべきか。たしかに腰掛けるものが必要だ。日本の避難所の「雑魚寝」の悲惨なこと!)
②ソファーやマットレスなど、寝たり座ったりできるもの
③貯蔵用品の棚(収納や整理に必要である)
④工具類。シャベル、つるはし、てこ棒、手おの、のこぎり、金槌・ハンマー等々
⑤聖書、書籍、おもちゃ、集団遊戯用具(これを「必要なもの」の中に数えるのが、まったくもって現実的な感覚だ)

「買い占め」は反社会的行為

 東日本大震災の時、首都圏などでも過剰なまとめ買いが行われて話題になった。
 物資が不足する中でのこうした「買い占め」について、本書では「反社会的行動」「身勝手」と強く非難している。
 スイスもまた、食料や生活品は輸入に依存しており、非常時には生活必需品が欠乏する可能性が高い。そんな中にあっては、「公平な分配」が絶対に必要で、お金のない人や買い出しに行けない人(介護者や独居者)ほど物資に困る、などということがあってはならない。
 ここまで痛烈な批判が、外国の本に書いてあったということを、私は東日本大震災の後に知った。日本人として恥ずかしく思うとともに、スイスへの畏敬を感じた。

地域防災組織の班編成

 非常において、軍が防衛に、自警団が治安の維持にあたることになるが、そのほかに「地域防災組織」が活動する。
 地域防災組織は、自警団の手の届かない部分をカバーする。その編成は、「指揮・警報伝達班」「戦時消防班」「工事保全班」「衛生班」「核兵器化学兵器対策班」「被災者救護班」などから成る。
 興味深いのは、この班編成が、目的はもちろんだが、使用するツールによって分類されていると思われることである。たとえば、工事と救護は目的が共通することはあるが(たとえば生き埋めになった人の救助)、使う道具や人材は別である。こうした班編成をしておくことで、目の前の事態に対してどの班が動くべきかが判断しやすくなるのだろう。避難所の運営にあたって、参考にしたい点である。

感想

重厚な本で、内容も実に細かい。おそらく読んだ人の数だけ感想があると思うので、できるだけ多くの人に読んでいただいて、印象的な部分をまとめてほしい。

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