鳥飼玖美子さんに学ぶ「なんのために」「どうやって」英語を学ぶか

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本物の英語力 (講談社現代新書)

 Eテレの「ニュースで英会話」に出演されている鳥飼玖美子さんの著書。「英語に興味があるのに、学習をあきらめかけている人たち」に向けて、アドバイスができないかと考えたことが、執筆のきっかけだという。
 文章が歯切れよく、とても読みやすかった。英語が得意な人は、まずもって日本語をきちんと使える人である、と聞いたことがあるが、あらためてそう感じた。

なぜ英語ができるようにならないか

正確な発音を学んでいない

  現行の英語教職課程では、「英語音声学」が必修ではない。だから、英語教師の中にも、正確な発音ができない人は珍しくないという。
 また、教育現場に存在する、本格的な英語の発音は「気取っている」と感じる感覚は、英語学習の足枷になっている。(第2講 「発音」は基本をおさえる)

[ある中学の研究授業を見学に行ったところ、“fish”の[i]や[sh]をきちんと発音していた男子がいたのですが、仲間に「おめえ、どうしたんだよ、キザな発音して」とからかわれ、すぐに「フィッシュ」と完璧な日本語発音に切り替えていました。これも「日本人中学生」というアイデンティティから成る仲間意識を優先させたといえないでしょうか。

基本的なボキャブラリー不足

  仕事で英語を使おうとする場合、語彙が8000語は必要である。またアメリカの一流大学が入学の条件としているTOFELスコアを見ると、およそ8000から10000語レベルの語彙力が必要となる。 これに対して、現行の学習指導要領で定められている中高の6年間で学ぶ語彙数は、たった3000語にすぎない。大学に行って本格的に海外留学をしようという場合、7000語前後の「語彙の上積み」が必要になるが、これは日本人にとってかなり高い壁である。 これについて筆者は、まず語彙習得に向けて、意識して努力しなければならない、としている。また、ただがむしゃらにやっても駄目だ、と説く。 筆者が主張する、語彙習得に一番いい方法は、「精読」と「多読」である。(第3講 先立つものは「語彙」)

文法の重要性

①関係代名詞は二つの文章をつなげる難易度の高い技術で、ネイティブ・スピーカーの子供でも、中学生ぐらいにならないと使いこなせない。これを使いこなせれば、「大人の英語」になる。②仮定法を知らないと、丁寧な言い方ができない。たとえば、「助けていただけると本当にありがたいです」というような言い方である。(第5講 話すためにこそ文法)

英語を書く際に必須の「明快な論理性」

  英語にくらべて、日本語の文章は趣旨や論理性があいまいであることが多い。それが英語学習の妨げになっている? (第12講 英語を書く)

仕事に使える英語とは

 仕事で英語を使おうとすれば、メールで連絡したり報告書を書いたりと、「書く作業」は避けられない。また部下に指導したり、意思疎通を図る上で、コミュニケーションも重要になる。 このように、実際の仕事では「書く」「話す」が重要になるが、TOEICは「読むだけ、話すだけ」なので、現場で使える英語力の指標にはならない。(第14講 仕事に使える英語)
感想

 英語を学ぶべき人には2種類ある。まず、英語の才能がある人である。こういった人たちは、通訳や教師として活躍できる。
 もう一つは、英語以外の大きな才能を持つ人である。本書で紹介されているものでは、宇宙飛行士やスポーツ選手、科学者である。特に印象に残ったのはスポーツ選手に関する部分で、国際的な大会に出場できるレベルの選手であれば、コーチや仲間が外国人であることは珍しくない。そこで外国語が不得手であることは大きな制約になってしまう。
 また、そうした人たちの経験からすると、「何が何でも英語ができるようにならなければならない」という追い詰められた状況も、英語学習に大きく資する。宇宙飛行士の若田光一さんのエピソードが印象的なのだが、若田さんも当初は、管制官らの話す英語が聞き取れなかった。そこから死に物狂いで努力して英語を我がものとしたのだという。
 そうした「壁」こそが、英語習得の鍵なのだ。

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