最近のライトノベルが忘れていた、純粋で綺麗で切ない学園異能小説

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サクラダリセット CAT,GHOST and REVOLUTION SUNDAY<サクラダリセット> (角川スニーカー文庫) [kindle版]

              リセット
             たった、一言。
         それだけで世界は三日分『死ぬ』

あらすじ

 能力者が集う街、サクラダ。主人公の浅井ケイは、記憶を保持する能力をもった高校生。そして、彼が出会った少女、春樹美空(はるきみそら)は、『リセット』と口にすることで世界を3日分巻き戻す能力をもっている。高校の奉仕クラブに所属する彼らは、ある日「死んだ猫を生き返らせてほしい」という依頼を受ける。リセット後の世界で『現実』と立ち向かう、少年と少女の物語。

章構成・物語の展開

 第1章『土曜日に始まる』
 第2章『水曜日からの出来事』
 第3章『日曜日の結末』
 他、プロローグ、エピローグからなる3章構成となっている。
 第1章から順次、主人公のケイ、ヒロインの美空、そして奉仕クラブの活動内容について語られていく。舞台となるサクラダは、その地に住み着く人間に『能力』を与え、町から出ていく人間からは『能力と能力に関する記憶』を奪ってしまう。ケイはこの街に偶然やってきて、能力に魅せられ定住した1人だった。
 ある日、奉仕クラブに「死んだ猫を生き返らせてほしい」という依頼が入る――春樹美空の能力は、「リセット」と呟くことで世界の時間を3日間巻き戻すものだ。ただし、能力を使用した本人も周りの人間も、その日までの記憶を失ってしまう。対してケイの能力は、記憶を保持する能力。美空がリセットを使用しても、消えた3日間の記憶を持ち続けることができる。二人がいて初めて意味を成す能力。2人は3日以内に死んだという猫を救うため、動き出す。
 高校一年生になるケイには、忘れられない過去があった。大切な親友ーー1人の少女を救えなかった過去だ。ケイは自分のミスで彼女が死んでしまった罪悪感に苛まれ、過去にサクラダの能力を取り仕切る『管理局』へ逆らったことがあった。死んだ少女を生き返らせるためだ。ケイはあらゆる知識や能力を駆使して、その願いを叶えようとした。
 けれど、駄目だった。願いは叶わなかった。
「死んだ猫を生き返らせてほしい」――ケイは依頼を通じて、そんな過去の出来事を振り返りながら調査を進めていく。そして、猫と通信できる能力を持つ野ノ尾盛夏(ののおせいか)と出会い、ケイたちは依頼に不自然な点があることに気づく。
 猫は死んでいない。
 今度は依頼者を追い始めるケイの周囲で、状況は一変していく。

感想

本作はシンプルな構成をしていて、伝いことをだけを伝えるストレートな文章が心に刺さります。「あの時、自分が抱いていた感情はこういうものだったんだ」、「こういう言葉で表現ができるんだ」と、ある種、真理めいた描写が言葉にできないもやもやを晴らしてくれます。
挿絵や内容もそうですが、露骨なエロシーンや下ネタが存在せず、会話や心理描写も現実的でライトノベルというよりは柔らかくした文学のように感じられました。公式でも乙一氏が推奨しており、文章はまさに乙一氏の三人称バージョンと言っても大げさにならないと思います。あの読後感を求めてさまよっていた方は、読んで損はありません。もちろん完全なコピー! というわけではなく、河野氏独特のみずみずしい、透き通った文章が味わえます。
考え方が少しだけ変わる、そんな作品だと思います。

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