毒のような恋を飲み干す、純粋な彼女たちの物語

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蜜の残り (角川文庫)

歌人としても活躍している加藤千恵の短編小説。

恋愛小説を数多く書いている彼女の作品のなかでも、
『蜜の残り』に収録されている恋愛はどれも一際、苦い。

それは目的地の見えない恋愛特有の毒である。

惹かれあう男女にとって、セックスはひとつのゴールになりえるだろう。
けれど、ここに出てくる彼女たちにとっては違う。

セックスは、ただのセックスでしかない。
そこに幸福や安心を得られる時代に彼女たちは生きていない。

交際する恋人たちが目指す幸せの形は結婚かもしれない。
けれど明るい声で「結婚したい」と言い合える恋愛ばかりではない。

彼は既に結婚していた。
彼は自分の叔父だった。
彼女たちは同性愛者だった。

それでも、ただ、恋をしている。
毒が身体中をまわって、判断力が鈍っても、侵されない想いがある。

最後の31音が胸を突く、大人のための物語。

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