一家4人で連続殺人、ドライブは死体と一緒に

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我が一家全員死刑 福岡県大牟田市4人殺害事件「死刑囚」獄中手記 (コア新書)

 2004年に福岡県大牟田市で起きた4人連続殺人事件の実行犯である北村孝紘の手記を元にフリーライターの鈴木智彦が周辺取材をし加筆、さらに雑誌「マッドマックス(現在休刊)」に連載したものをまとめたものが本作。
 当時はなかなか話題になり報道番組でも取り上げられていた記憶がありますが、12年経った今となってはなかなか思い出せないものですね。家族4人で共謀して知り合いであり貸金業をしていた被害者女性を殺害、さらに金品強奪のためにその次男、口封じのために長男とその友人を次々と殺害するという、なかなかショッキングな事件でございますが、思い出せません。ただこれを読んで輪郭を思い出すことができたとして、なんら達成感はありませんでしたが。
 

 本作はその事件を、実行犯である加害者一家の次男が回想しながら記した手記を元に構成されています。その他の家族(父親、母親、長男)に対しては一切のコンタクトが許可されなかったため、あくまで次男目線の、次男による独白が中心です。

どこをとってもマンガチック

 「マッドマックス」連載第一回目から鈴木はそう揶揄し、それは本作を読んでいても感じるところではありました。現実とファンタジーの区別がついていないともおっしゃっていますが、確かにフワフワというか、地に足のつかない感じの身軽な文体はおおよそ殺人の告白文としては似つかわしくないように思えました。
 多用される感嘆符も、当時の興奮を表しはしても、現場の緊迫感からはどこまでも遠ざかってしまっています。そしてそれは、つまりそういうことなのだろうという諦念さえ呼び起こすほどです。
 殺人を犯し、その行為に酔い、楽しんでいたと語る加害者次男に、一切の反省はないのだろうな、と。

「(被害者たちを)かわいそうとは思いますが、申し訳ないとは思ってないです。
 殺されたのも運命、私が死刑になるのも運命。それに私はヤクザです。親分の命令は絶対なんです」
                             本作p,190より引用

 兄に呼び出され、言われるがままに数時間で人を殺し、さらに父親の招集によって集まった家族でのらりくらりと殺人計画を立てながら、その場しのぎの場当たり的なやっつけ仕事で連続殺人。先のセリフもさることながら、事件の間の一連の行動さえどこか非現実的です。
 命令が絶対というよりも、そうすることが当然とでもいうようになんの疑問も挟まずに実行してしいる、その歪みはどこからくるのか、なかなか興味深いところですが、そこまで追求する時間はどうやらないようです。
 

 一家4人は死刑確定。
 そして死刑未決囚が面会を許されているのは親族のみ。
 彼らの話は、もう聞けません(次男が獄中結婚しているようですが)。

 私たちはせめて、この作品を読んで忘れ去られようとしている残虐事件の一端に触れ、犯罪者に思いを馳せたその先に見えるものともっとしっかり向き合う必要があるんだと思います。
 

感想

 操り人形よろしく連続殺人を犯し、それを「ヤクザだから」で納得できているのならば、どうにも救いようがないな、と思ってしまいますねぇ。この浮遊感はどこから来るのか、なぜここまで無関心でいられるのか、謎というか不可解というか、まぁ理解の範疇を超えております。
 そういうことを調べたらなかなか有意義なんじゃないかなぁと思うんですけど、そういう機関て日本にあるんでしょうかね。

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