人工知能やシンギュラリティの先にはどんな未来が広がっているのか?

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人工超知能が人類を超える シンギュラリティ―その先にある未来

 本書は技術的特異点の問題を中心に、人類の未来のあり方を議論した本です。技術的特異点(シンギュラリティ)とは、人工知能が人間の知能を遙かに抜き去り、極めて高速に科学技術が発展していく時点を指す言葉です。一説にはそのような時が訪れるのが2045年ごろではないかといわれており、この問題に関連して人工知能開発の是非が議論されています。

第 1 章 シンギュラリティがなぜ問題になるのか?

 本章では技術的特異点が訪れるとどのような問題が生じるかについて考えます。まず予測されるのは、人工知能と人類が対立するシナリオです。これを回避するためには、人間の脳を機械化し、知能を増強させ、人工知能と対等の立場に立つことが必要です。しかしこれには私たちの「意識」の問題が関係してきます。つまり、機械化された脳にはたして意識が宿るのか、という問題です。本章ではこの問題を主テーマに据え、ポスト・ヒューマンのあるべき姿について議論します。

第 2 章 私たちはどこから来たのか?

 特異点問題を考える際に重要なことは、人工知能開発だけに的を絞って議論するのではなく、人類や生物の進化といったより大きな観点から議論を行うことです。 例えば「人類700万年の進化史から見たときに、技術的特異点にはどのような意味があるのか?」、「人類の生きる意味は何なのか?」、さらには「私たちは人類の最終的な未来に何を求めるか?」といったような哲学的かつ根源的な議論にまで立ち返る必要があります。

 そこで本章では、宇宙の始まりから現在に至るまでの進化の過程を振り返り、その中で「生物進化におけるゴールとは何か?」について考えます。本書では「手、口、頭」を獲得することが生物進化における一つのゴールとみなします。外界を操作できる手を獲得することで道具を操り、多彩な音を出せる口を獲得することで言葉を話し、高い知能を獲得することで文明社会を築けるようになった段階で、生物学的な意味での進化はその役割を終えると考えます。

第 3 章 科学技術の進歩と人類の進化

 生物進化のゴールに到達した人類は、進化の手段を科学技術的なものへと移行させていきます。本章ではその過程を追います。具体的には農業革命、産業革命、情報革命、ロボット革命、生物革命という5つの革命を通して私たちがどのように発展し何を得てきたか、について考察を行います。この五大革命を成し遂げることで、進化の本来の目的である「個と種の保存」は達成され、人類は第二のゴールを迎えます。

第 4章 そして、人類のゴールへ

 ここでは、特異点を超えた後の人類の未来に幸せはあるか?という問題について考えます。
準備として本章の前半では、「人々にとって幸福とは何か」について考え、幸福の定義を明確にします。また「人生の意味や目的とは何か」についても生物学的観点から答えを模索します。
 後半では、これらの議論をもとに特異点後の未来を予測します。多くの場合私たちは、人類の未来に永遠の幸福といったものを想定します。現状を認識する際も「不幸が撲滅され幸福な未来に向かって進んでいる」、また仮にそうでないとしても「そのような世界の実現に向けて努力すべき」と思いながら暮らしています。

 しかし本書ではこのような捉え方や目標設定には根本的な無理があり、そもそも「完全なる幸福」は原理的に実現不可能であることを示します。したがって「人類の未来には幸福がない」という結論が導かれることになります。また人類の最終的な到達点は「幸福も不幸も存在せず、変化が全く無くなった安定状態」であることを示します。

 さらにこの方向性で議論を進めることで、最終的には「人類の進化というものは永遠に続いていくものではなく、むしろその誕生から最終的な到達点までの道のりを、個人の一生になぞらえて考えた方がよい」という結論に到達します。つまり、人が生まれ成長し、いずれ安らかな死を迎えるのと同じように、人類や生物の進化にも終着点があり、いずれ動きが停止した状態に落ち着いていくのではないかと考えます。

 このような考え方は一見するとスピリチュアル的に見えるかもしれませんが、本書ではあくまでも論理の積み重ねによってこの結論を導出します。
 また生命が誕生して以降、「生物的進化」から「科学技術的進化」を経て「非生物的進化」へと発展して行く過程の中には、いったいどのような意味合いが隠されていたのかについても結論を述べます。

終章 シンギュラリティ後の人類ビジョン

 本章では、技術的特異点を通過した後の人類のあり方に関して未来ビジョンを提示します。前章で述べた未来像に関して、違和感や嫌悪感を覚える人も多いと思われます。そこでここでは、より多くの人が納得できるような「人類の未来ビジョン」を構築します。
 最後にまとめとして、人類の未来を考える上でもっとも大切なこととは何かについても言及します。
 

感想

 著者の台場です。私は大学でロボット工学の研究を行っていることもあり、以前から人工知能と人間との関係性、またそれらが導入された後の社会がどうなるかについて強い関心を抱いてきました。本書はこの問いに対する私なりの答えを1冊にまとめたものです。
 近い将来生じるであろう特異点問題は原発問題以上に私たちに多大な影響を及ぼします。また現代は気候変動温暖化問題や宗教間、民族間の紛争問題、また資本主義経済の行きづまりなど様々な閉塞感、先行き不透明感が重く圧し掛かります。そのような中、私たちが今後進むべき道を模索していく際のヒントを、本書が提供できれば幸いです。

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