「バンコマイシン=腎機能障害」から脱却しよう。

1051viewsrihitorihito

このエントリーをはてなブックマークに追加
薬局 2014年 06月号 [雑誌]

<腎機能障害を呈するMRSA肺炎>

「バンコマイシン=腎障害の原因=腎機能障害時は使用できない」からの脱却も重要なのではないであろうか。
腎機能が悪いと「腎障害がある薬剤=使えない」としてしまっていないかどうか、常に丁寧に考える癖をつけるようにしたい。」

・バンコマイシンは、高用量の投与で近位尿細管上皮の軽度から中等度の変性や壊死を起こすことが知られている。
・バンコマイシンの腎障害はトラフが高い患者における発症率は20~28%で、開始から4~8日目に発症することが多いとされる。特に肺炎では、MICが高い株での治療反応がスムーズでない場合などでは20μg/mL以上にすることもあり注意は必要である。
・しかし、腎機能は可逆的で、退院までに70%超が改善したとされるところにも注目したい。

・昔は実際に腎障害の頻度が極めて高かったので、冗談のような話であるが、昔はミシシッピ川の汚れた水で作られていたことによる不純物が関与していたとされる。

・リネゾリドはMRSA肺炎への効果も期待されており、腎機能での調節も不要とされる。
・腎機能障害患者では腎機能正常患者に比べ、リネゾリド投与により有意に血小板を減少させることが報告されている。
・国内のデータでも、リネゾリドの血中濃度は腎障害患者で高く、血小板減少と血中濃度は創刊していることも示されている。
・腎機能が悪いとリネゾリドとて使いにくいのである。

・真のMRSA肺炎であれば抗菌薬治療も最低2週間は必要であり、結局はリネゾリドの血中濃度上昇により血小板減少に悩まされ、治療を完結できることが少ない印象である。

・バンコマイシンを投与していた腎機能が少しでも悪化すると、医師も薬剤師も何でもバンコマイシンのせいにはしていないだろうか?
・筆者が診ていて真のバンコマイシンによる腎機能悪化と思えるものは全体の1割にも満たないと感じる。
・その原因の多くは、感染症による脱水での腎前性腎不全である。感染症による発熱などで必要水分量で増しているにもかかわらず、国内の敗血症治療では輸液が十分にされていない傾向が大きい。なんでも腎機能悪化の原因をバンコマイシンのせいにするのではなく、補液不足の腎前性腎不全の要素も検討してみてほしい。そのような場合でもナトリウム排泄率(FENa)を計算すると腎性と出るかもしれないが、それでも腎前性では?と考えてみてほしい。腎性腎不全の最も多い原因は腎前性である。また、他の腎障害のある薬剤(NSAIDsなど)を併用していないかをチェックする。バンコマイシンを中止・変更する前には一度は検討いただきたい。

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く