窓の奥深さ。

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窓から建築を考える

窓を切り口にして建築を考える。

様式でも、構造でもなく、窓。
窓というと、景色を見るもの、という印象があります。
でも、本当にそれだけでしょうか?
照明装置がなかった時代、窓から差し込む光が部屋の中を照らしていました。
ロウソクの光だけが照明器具だった時代、昼間でも薄暗い部屋の一部があった頃。
人々は灯りを求めて、窓辺に集まります。
家事をする人、本を読む人、書き物をする人。
読み進めていくと、いかに光を室内に取り込むか、ということが建築の美しさと並んで重要だったことに気づかされます。

でも、それは西洋の話。
日本ではそもそもガラス窓なんてなかったのです。
日本にガラスが輸入されたのは明治時代。
その後、国内で技術が発展していきました。
今では当たり前にあるものですが、お寺とか古民家とかに行くと、ガラス窓なんてありません。
近代化の象徴としてガラス窓が広告に使われているという指摘が新鮮でした。

黒白ではありますが、素敵な建築物の写真がたくさん載っていて、とても綺麗です。
建築史なんて全然わからないのですが、わからなくても簡単に書いてあるので、その時代、そんな建築があったのね、と思いながら読み進めることができました。
日本と西洋の建築物のなりたちの違い、建築様式と共に発達してきた技術、エアコンの発達、人々の生活の変化していく様子、建築のことだけでなく、その周辺を書いているのがわかりやすさの理由かもしれません。

最後の第5章では、絵画と窓について語られます。
絵を見るとき、その色合いや人物の描き方ばかりに気を取られてしまって、その時代の生活を想像することはなかったような気がします。
その絵画が描かれた時代、人々はどんな生活をしていたのか、その生活の中で窓はどんな役割を期待されていたのか、窓にどんなメタファーをこめているのか、そういう絵の見方もあるのだと、新しい視点をもらえました。

窓から建築を考える

窓から建築を考える

  • 五十嵐 太郎,市川 紘司,東北大学五十嵐太郎研究室

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