過去の歴史を踏まえ、緊迫する世界情勢を読む「世界史の極意」

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世界史の極意 (NHK出版新書 451)

現在は第一次世界大戦前後の世界と酷似している。例えば覇権国の動揺、格差の拡大、米の相変わらずの啓蒙信奉など(合理主義)。過去の歴史と対比させながら、未来を読み解く。
 

帝国主義について

現在は第一次世界大戦前後の世界と酷似

  • 19世紀の帝国主義/肥大した金融資本が、国と共に世界へ拡大
  • 20世紀初め、社会主義が成立/対抗上、資本主義は福祉に力を入れる
  • 20世紀末、社会主義が崩壊/福祉路線から、国家の介入を極力抑える新自由主義へ
  • 2008年/米の弱体化により、各地で紛争が。「新帝国主義」へ

帝国主義の時代は、覇権国の没落後に訪れる。19世紀の英、21世紀の米

帝国主義期は、国家機能の介入が増える

  • グローバル化で自国の税収が失われるので、確保に走るから
  • 米英仏独はみんな、表向き自由貿易をうたう裏で、保護政策を行っている

資本主義とは「労働力の商品化」である

  • 毛織物成長期の英で、牧場を増やすため土地を追われた農民が、都市で自らを「労働力」として売り出した⇒資本主義の始まり
  • 労働力が高くなりすぎ、利益が出ず資本家が雇用を控える現象が「恐慌」

琉球を併合した日本は、すでに立派な帝国主義国だ。自覚せよ

  • せめて、福祉・経済的再分配に注力する「品格ある帝国主義」を目指すしかない

民族を読む

「自分は“国民”である」という意識は18世紀以降に生まれたもの

  • 中世ヨーロッパの人々の意識は、国ではなく教会に属していた
  • フランス革命によりナショナリズムが生まれ、その概念が各国に伝わっていく

ナショナリズムはいかにして生まれるか

  • 道具主義(=エリートが治世のために「幻想」として作り出す)との解釈が主流
  • スミスは、民族のベースになる「エトニ」という概念を提唱。共通の歴史や文化を持ち、連帯感がある集団のこと。民族意識が生まれてから事後的に発見される
  • 中央アジアの宗教的対立を懐柔するため、ソ連は意図的に、彼らに民族意識を植えつけた

ウクライナ危機の本質は、民族アイデンティティの対立

  • 似た者の同士の集団の対立は、暴発しやすい
  • エトニが強まる沖縄は「民族発生」の初期段階。本土の人々はこれに気づいていない

宗教紛争を読む

イスラム国は全世界をイスラム化することが目標

  • 危惧するバチカン(ローマ教皇庁)はイスラム穏健派を取込み、過激派を諌める戦略を取る
  • 資本主義によって超越性への想像力が弱体化。この欠落を宗教的原理主義が埋めている状況

キリスト教は、ユダヤ教の厳格な律法主義に対抗する形で誕生。のち世界宗教に

  • 科学の進歩により神の居場所が追われ、神は「到達不可能な存在としての存在」となる
  • だが、米の合理主義は「神の超越性」を取り込めず。結果、ナショナリズムが現代人の宗教に

イスラム教のポイントは、唯一神アッラーへの絶対的服従

  • 原罪という概念がないため、神が命じれば、内なる反省なく殺戮へ向かうことも
  • 過激派のほとんどは、スンニ派の中のワッハーブ派に属する
  • イスラム原理主義の暴走を食い止めるカギはネイション(民族)。宗教への帰属を、民族的なものへの帰属にスライドさせる

戦争を回避するには?

①啓蒙主義への回帰/そう簡単に、資本主義・近代の限界を好転させるシステムはない
②見えない世界への意識を/抽象的想像力の鍛錬をしなければ、代替物(=ナショナリズムなど)が滑り込んでくる

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