中国を知るために知っておきたいこと
中国が変わるための大前提は、内側から変わること。
- 中国を変えたければ、中国自身が内側から変わるのを待つしかない。この巨大で多様な人間集団を短期間で変えるなど至難の業である。このことがわからない日本人はいまも多い・・・。
- 中国を変えるには、中国人自身が内側から中国のあり方を変える必要がある。過去百五十年間、中国はさまざまな変革モデルを試してきたが、結局中国の変革のヒントは中国の伝統文化のなかにしかなかったことを忘れてはならない。
現代中国を理解するキーワードはその「弱さ・脆弱さ」
- 意外に聞こえるかもしれないが、現代中国を理解するキーワードはその「弱さ・脆弱さ」だ。中国人との付き合いが難しいのは、彼らが「強い」からではなく、じつは「弱い」からだ。「弱い」からこそ「怖い」。「怖い」からこそ、彼らは自分たちが長年受け継いできた文化に「逃げ込む」のである。
- 自信があれば、もっと上手く外国人と付き合える。自信がないからこそ、主観的判断、自己正当化、短期的利益追求などの自己中心的言動を繰り返し、平気で嘘もつく。彼らがまだ開発途上国のメンタリティをもっているからと思えば、理解しやすいだろう。
- もう一つ外国人が理解すべきことは、中国人が外国からいかに思われているかを人一倍気にする、とても「傷つきやすい」民族であるということだ。このような性格は中国人の専売特許ではなく、他の開発途上国人にもほぼ共通するものだ。
中国は「西洋文明からの衝撃」を克服できていない。
- 中国が西太平洋における米軍の圧倒的プレゼンスを拒否し、あくまで米国に挑戦するのは、西洋列強からの強烈な文化的挑戦に敗れ去ったトラウマに今も苛まれているからだ。アヘン戦争に始まる西洋列強の衝撃は、太平天国の乱によっても、洋務運動によっても、変法自強運動によっても、辛亥革命によっても、共産主義革命によっても乗り越えることはできなかった。それでも中国は挑戦し続ける。改革開放政策で経済力と軍事力を飛躍的に高めた今、「西洋文明からの衝撃」を象徴するのは米軍である。米国は、中国にとって乗り越えなければならない「西洋文明からの衝撃」に他ならず、だからこそ中国は挑戦し続けるのだ。
- 中国がその古めかしい『華夷思想』を充分克服しきれず、アヘン戦争から百七十年経っても、欧米諸国に対し、新たな国家像・国際秩序モデルを示しえないことへの『劣等意識』こそが、中国政治停滞の最大の原因ではないだろうか。
付録①中国の伝統的な統治システム
中国の伝統的な統治システムの形成には、4つの大きな要素がある。
- 儒教的思考を生んだ東アジアの豊かな農耕文化。
- 農地を維持すために恒常的な治水事業を必要とする自然環境。」
- 人間個人の価値を低める慢性的な人口過剰。
- 周辺地域に対等なライバルとなるような他の強力な農耕文化が存在しなかったこと。
付録②中国の今後の予想
①中国統一・独裁維持
a)覇権争いで米国に勝利。
米軍のプレゼンスが第一列島線の外まで後退。当面は中国軍の完勝の可能性は低い。
b)現状維持レベル
中国は国内政治的に、敗北を発表したり非を認めることはできない。米国の対応次第となる。
c)米国に決定的な敗北
敗北した指導部は責任を問われ、強硬な左派が独裁体制を強化する可能性がある。
②中国統一・民主化
- 米国に敗北し共産党が統治の正当性を失う。穏健な中間層が民主化を達成する。民主国家となった中国は東アジアと東南アジアを影響下に置く。巨大独裁国家の民主化は困難と思われる。
③中国統一・民主化に失敗し再独裁化
- シナリオ②の民主化が短期間で挫折し、再度独裁体制に近づく。現在のロシア(プーチン)の体制に近いイメージとなる。実現の可能性は考えられる。
④中国分裂・民主化
- 可能性はかなり低い。
a)漢族中心の統一民主国家と、少数民族の高度な自治区(あるいは国家)に分裂
b)地域ごとの複数の漢族民主国家と、少数民族自治区(国家)に分裂
c)分裂した各民主国家群による連邦制
⑤中国分裂・民主化に失敗し再独裁化
- 民主化が進みシナリオ④のように分裂したあと、各国の民主化が失敗し独裁化する。これも現在のロシアに近い体制が想定される。
- 考えにくいが、民主化が想定されないだけシナリオ④よりも可能性はある。
a)漢族中心の統一国家と少数民族の自治区(国家)
b)地域ごとの複数の漢族中心国家と少数民族自治区(国家)
c)分裂した国家群による連邦制
⑥中国分裂・一部民主化と一部独裁の並立
- 地域によって民主的な漢族国家と独裁的な漢族国家に分裂する。各地で独自の動きが発生する可能性はある。
⑦漢族・少数民族完全分裂
- 大混乱の群雄割拠モデルである。
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