若者ホームレスの8割は正社員経験あり。

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ルポ 若者ホームレス (ちくま新書)

※出版年度は2011年です。

第1章 若者ホームレスの現実

ホームレス自立支援雑誌を販売しているビッグイシューでは、2007年頃から若者ホームレスの増加を実感していた。
若者ホームレスは、服装に気を遣い携帯やゲーム機をもつなど、外観で普通の若者と区別がつきにくく、
路上で寝るのを怖がり、深夜営業店のハシゴやネットカフェなどでの宿泊と野宿を併用しているためホームレスとしての自覚が乏しい。
厚生労働省が2007年に行った調査では、ホームレス(若者以外も含む)の7割は仕事をしている。もっとも、ホームレスは貧困ビジネスや犯罪に巻き込まれるケースが多く、そういった問題から若者ホームレスの多くは、路上→その他→路上のサイクルを短期間で繰り返し、何年も安定した住まいを持たないケースがある。
背景として、就職のあてや蓄えがなくても「ネットカフェに行けばなんとかなる」と安易に上京する若者の増加がある。初めは「サバイバル」「修業」気分でも、孤独などから次第に抑うつ状態を募らせていく。

第2章 若者ホームレスと家族

若者ホームレスの多くが生活保護受給世帯、親の仕事の倒産、親との死別、母子・父子家庭や養護施設出身など複雑な家庭環境に育ち、家族がいても親に借金があったり、他の兄弟姉妹への遠慮、(自身の)借金をめぐる確執、親からの虐待や暴力などがあり、帰る家を持たないケースが多い。また、本人に軽度の知的障害が見られることもある。

第3章 若者ホームレスと仕事

調査を行った若者ホームレスの全員に就業経験があり、8割は正社員を経験、店長などの中間管理職を経験した人や自衛隊出身者も多かった。
景気悪化や派遣解禁などを背景に、正社員→派遣社員→日雇派遣→路上と、「階段を一段ずつ落ちていく」ように就業条件が悪化していった。
正社員を辞めた理由は、リストラ、過酷な労働環境、職場の人間関係やイジメで辞めた人がいる一方、「まだ若いので違うことをしてみたい」と安易に辞めたケースもある。多くの場合、初職からの離職がターニングポイントになっている。
若者ホームレスがなぜ(まともな会社に)就業しないのかというと、
「住所」がなく、連絡先の「携帯電話」がない場合、職探しそのものが難しく、身分証明書、保証人、就活用の衣類、面接先への交通費がないこともハードルになっているという。
また、仕事のキャリアはあっても時代の流れにそぐわなくなり、他職経験がないため就業が困難なケースや過酷な労働やイジメで心身ともに衰弱し、就業が困難なケースもある。

第4章 ホームレスからの脱出

ホームレスでも生活保護は受給可能だが、若者は自立支援センターを紹介されるケースが多い。共同生活が基本の自立支援センター等に馴染めない若者も多く、また、センターの数そのものが足りず、入居抽選待ちの場合もある。
若者ホームレスは雇用保険受給者も少ない。受給要件を満たしていない、手続き方法がわからない、退職時に揉めて必要書類が受け取れないケースや、受給前に家賃が払えなくなり路上に出た人もいる。
(※他,法的支援も多数記載されているが時限法や自治体によって異なる為省略。)
NPOなどの支援で自立につながったケースもあるが、若者ホームレスは中高年に比べ就職が決まる確率が高い反面、離職率も高い。なぜなら、若者ホームレス問題の背景に、貧困、気薄な家族環境、劣悪な労働環境、心の病が複雑に絡みあっているため、ホームレス脱出がより難しくなっている。気長な支援が重要である。

感想

あとがきでは、本書のため聞き取りを行った若者ホームレスは全員男性であると記されています。女性が路上に出るのは男性以上に危険が伴うため、女性の若者ホームレスは顕在化しにくいと。
他人事とも思えないお話も多く、ホームレスの方が携わった具体的な業種も記されており(本まとめでは省きました)興味のある人は一読をお勧めします。重いテーマですが、目をそらさない方がいいテーマでもあると思いました。

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