明日から起業しようと思っている人必読!!

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成功するイノベーションはなにが違うのか? (Harvard Business Review Press)

1.背景・要約

ブリガム・ヤング大学の教授であるネイザン・ファーとジェフリー・ダイアーが2014年に上梓した「The Innovator’s Method: Bringing the Lean Start-up into Your Organization」の日本語訳です。

クレイトン・クリステンセンが「イノベーションのプロセスを始めから終わりまで詳しく解説した初めての本だ」と評する通り、過去の文献が導き出した数多くのイノベーションの戦略・手法と実際のビジネスの現場でのイノベーションの成果を上手く統合し、イノベーション・プロセスの全体像を描いています。

2.本書の3つのポイント

ポイント(1) 何故、失敗することは素晴らしいのか?

本書で論じられているイノベーション実現メソッドを端的に述べるならば、「課題を特定し、それを解決する仮説を立て、コストをかけずに仮説実験を繰り返し、仮説実験から得られたデータをもとにソリューションを導き出す」といえます。

当然ながら、仮説の中には結果としては誤っていたものもありますし、仮説をもとにした試作品が全く気にいられない可能性もあります。

ただ、これは「必要な失敗」なのです。

何故ならば、この失敗がなければ、顧客が何に不満を持っているのか具体的にわからないからです。
グーグルやアマゾンが失敗を奨励しているのは、イノベーションの領域では、失敗がなければより良いソリューションが生み出せないことを知っているからだといえます。

ポイント(2) 「選択と集中」はイノベーションを殺す。

強みのある事業領域に注力する「選択と集中」は今でも多くの企業が採用している戦略ですが、この戦略はイノベーションの初期段階に適用させると、役に立たないどころか、大事なアイデアの芽まで摘んでしまうのです。

「選択と集中」といったMBAで学ぶような伝統的なマネジメント手法は、成熟市場においては有効な戦略となりえますが、見通し不透明なイノベーションの領域で、理論に従って選択と集中を行い、アイデアを捨て去るのは愚の骨頂だといえるのです。

ペイパル、テスラモーターズ、スペースXの創業者であるイーロン・マスクは次のように述べています。
「MBAホルダーの採用はできるかぎり避けた方がよい。MBAプログラムは、会社を創る方法は教えてくれない。」

ポイント(3) 拡大期にピーターパンはいらない。

イノベーションの実現メソッドが実を結び、ビジネスモデルが確立した後は、ベンチャー企業は拡大期に入ります。

この拡大期は、実験をして色々試す、スピード重視で対応する、ルールよりも柔軟性を、といった“起業家的マネジメント”から、標準化する、規律を導入するといった“伝統的(MBA的)マネジメント”に移行するタイミングでもあります。

この拡大期になって、MBAホルダーのような人材も必要になってくるのですが、同時に、創業時に活躍したイノベーターを追い出さなければならない事態も生じます。

起業家的マネジメントと伝統的マネジメントの融合が必要な拡大期に、「俺の作った会社が大企業みたいになっていくのは嫌だ!」と子どもみたいなことをいうメンバーには会社の成長ために去ってもらう必要があります。

会社を大きくすることに興味がなかったペイパル創業者のピータ・ティールは、ペイパルがイーベイに買収され、これから本格的に事業を拡大していく段階になった時、何ら未練もなく会社を去って行きました。これは正しい選択だったといえるでしょう。

感想

オススメ度 : ★★★★★★

本書では偉大なイノベーション研究者が過去に提唱した様々な手法がまとめ上げられ、総体的なモデルに落とし込まれています。

いわゆる”いいとこどり”をしています。

冒頭に本書を推薦者する言葉が載せられており、その中でセールスフォース・ドットコムのCEOであるマーク・ベにオフは「イノベーションに関する本はたくさんある。いや、この本だけ読んでおけばよいかもしれない。」と述べていますが、概ね同意します。

実例がふんだんに盛り込まれた本書の内容は極めて実践的であり、起業したらどういう風にビジネスを組み立てるべきか、という問いに対する一つの答えを示してくれていると思います。
私が友人から「明日起業をする」と言われた時に、真っ先にオススメするのはこの本だと思います。

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