赤羽から始まる世界征服

709viewsくまくまくまくま

このエントリーをはてなブックマークに追加
世界創造株式会社 1 (星海社FICTIONS)

 ビデオチャットで仲良くなったMIT大学院飛び級卒の日乃原涼香から、フリーゲーム製作者兼留年大学生の北都大樹、高校を3日で退学してひきこもったゴスロリハッカーの雪丈小春、腕はあるが貧乏なイラストレーターの御影隼は、世界征服に誘われた。ここで彼女の誘う世界征服は、もちろん武力による支配ではない。世界を席巻するほどの革命的な基盤を構築し、その存在なくしては世界が維持できず、どんな権力もそれを無視できない状態を作り上げることだ。
 対人スキルがゼロに近く、引きこもって生活することに慣れ、自分の能力を低く見積もる3人は、それを断ろうとするが、とりあえず、涼香が帰国する1か月後にリアルで会おうということになる。これまでビデオチャットであけすけに話し合ってきた関係があったからこそ、リアルでも率直に関係を築けることに気付いた3人は、それぞれの理由から、彼女の企みに力を貸す気になる。そして、ブレインストーミングの結果、「実行->結果」の射幸性が高いソーシャルゲームと、そのSRカードを裏付けとする仮想コインを組み合わせることで、各国政府の裏づける通貨に基づく貨幣経済よりも信用度の高い経済システム構築を目指すということになった。

 各国の英雄たちをモチーフとするカードゲーム「第零次世界大戦(WWZ)」と仮想通貨「ゼロコイン」は世界を席巻するか?

感想

 「羽月莉音の帝国」の羽月莉音と同じく、日乃原涼香の根底にあるのは、自身の死という現象に端を発する思索だろう。その結果、彼女は彼女自身の宇宙観に辿り着き、この宇宙の全てはゼロであると悟る。そしてゼロであるがゆえに、全てを成すことが出来るのだと考え、世界征服をしようと考えるのだ。
 そんな彼女の世界観に救われた北都大樹は、世界の破滅を望む雪丈小春にも救いをもたらす。そして彼の過去の作品であるゲームの世界観は、日乃原涼香の着想の基になり、御影隼の自立のきっかけにもなっていたという、彼らの関係性の根幹を形成する。こうして一つの会社を設立するに至った4人が世界に何をもたらしていくのか、期待が持てる作品だ。

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く