「カワイイはつくれる!」なら「イノベーターもつくれる!?」

1298viewsGordian KnotGordian Knot

このエントリーをはてなブックマークに追加
イノベーションのDNA 破壊的イノベータの5つのスキル (Harvard Business School Press)

1.背景・要約

ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン、ブリガム・ヤング大学のジェフリー・ダイアー、INSEADのハル・グレーガンという3名のビジネス・スクールの有名教授が2011年に上梓した「The Innovators’ DNA: Mastering the Five Skills of Disruptive Innovators」の日本語訳です。

スティーブ・ジョブズやジェフ・ベゾス(アマゾン)といった革新的なイノベーターを観察したことで得られたイノベーターの5つの基本的なのDNA(発見力)の紹介とその身につけ方、そしてそのDNAを組織の中で応用する方法を論じています。

本書で紹介されているイノベーションの5つのDNAは以下の通りです。

1) 関連づける力 
2) 質問力 
3) 観察力 
4) ネットワーク力 
5) 実験力 

2.本書の3つのポイント

ポイント(1) ばかに見られる覚悟はできているか?

本書を読んで特に私が日本人に欠けていると感じた行動的スキルは「質問力」です。

本書では、質問を拒んでいる要因の一つとして「ばかにみられたくない」という感情を挙げています。

そして「あなたはばかに見られる覚悟ができているか?」という質問に隠されているさらに強力な質問は「あなたは謙虚に質問ができるだけの自己肯定感をもっているだろうか?」である、と説明されています。

質問の名手は自己肯定感が強く、そして誰からでも学ぶ謙虚さを備えているということです。

ポイント(2) デキるサラリーマンのネットワークはイノベーションを生み出さない。

本書では有名大企業に勤めるようなデキるサラリーマンとイノベーターとではネットワークを作る目的がそもそも違うと述べています。

デキるサラリーマンは自分を売り込むためやキャリアアップのために、自分に似た人や権力・地位・影響力を持つ人とネットワークを作りたがります。
これを本書では「資源ネットワーク」と呼んでいます。

一方、イノベーターは新しく思いがけないことを学んだり、新たな視点を得るために多様な背景を持つ人の所に飛び込んで行きます。
この環境こそがイノベーションを生み出す「アイデアネットワーク」です。

なんとなくではありますが、日本のインターネット関連の起業家をみていると、表面上はアイデアネットワークを作ろうとしているつもりでも、実態は資源ネットワークになってしまっているのではないかと感じます。

本書で紹介されているイーベイ創業者のピエール・オミダイアの以下の言葉がアイデアネットワークの真髄を端的に表していると思います。

「CEOより、郵便係と話したい。」

ポイント(3) 破天荒な人と論理的な人がタッグを組めば最強。

本書では、5つの発見力を備えた発見志向型のイノベーターの対極に位置する存在として、分析・企画立案・行き届いた導入・規律ある実行という4つの実行力を備えた実行志向型の人材を挙げています。

本書では、「大企業が破壊的イノベーションに失敗しがちな理由は、発見力ではなく実行力で選ばれた人材が最高経営層を占めることにあるということだ。」という厳しい指摘がされていますが、イノベーティブな組織に実行志向型の人材が不要というわけではありません。

どちらか一方に偏ってしまうのが問題なのであり、組織としてはどちらのタイプの人材も必要で、両者のバランスが非常に大事だということです。

感想

オススメ度 : ★★★★☆☆

実は、本書で紹介されているイノベーションの5つのDNAにはあまり意外性はありません。

突拍子もないことや、常人には到底できない行動など一つもなく、多くの人が「アイデアを生み出す方法であることは何となく知っているが、実際に行動には移してはいないこと」ばかりです。

「目からウロコ」というより、「やっぱりね」という感想を持つ方の方が多いかと思います。

ただ、本書の価値はまさしくこの「意外性のなさ」だと思います。
多くの人はやるべきことはわかっているのです。そしてやろうと思えばできるのです。
ただ、やらないのです。

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く