“生意気な出る杭を育てたい人”のための本

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ドラッカー名著集14 マネジメント[中]―課題、責任、実践

1.背景・要約

1973年、マネジメントの父ピーター・ドラッカーが63歳の時に上梓した「Management: Tasks, Responsibilities, Practices」の日本語訳です。

中巻のテーマは「マネジメントの方法」であり、主にマネジメントの仕事、スキル、組織について中心的に述べられています。

マネジメントの仕事については、基本的なものとして①目標設定、②組織化(仕事の分析)、③チーム形成、④評価、⑤人材育成の5つが挙げられています。

マネジメントに必要なスキルについては、①意思決定、②コミュニケーション、③管理、④分析の4つが挙げられています。

そして、マネジメントの組織構造として、①職能別組織(仕事中心)、②チーム型組織(仕事中心)、③連邦分権型組織(成果中心)、④疑似分権型組織(成果中心)、⑤システム型組織(関係中心)の5つが挙げられています。

2.本書の3つのポイント

ポイント(1) マネジメントは“人の仕事”ではなく、“成果”に責任を持つ。

ドラッカーは、従来のマネジメントは「人の仕事に責任を持つ者」であったが、今日では「組織の成果に責任を持つ者」であると述べています。

この考え方には、スペシャリストとして組織に貢献する人たちが急速に増えたという背景があります。彼らは多くの部下を抱えて仕事を管理するわけではなく独立して仕事を行います。

では部下がいないからマネジメントではないかというと、そうではないわけです。

ドラッカーは、50人の部下を持つ部長も、一人の部下も持たないスペシャリストも、貢献の手段が違うだけで、組織の成果に責任を持つという意味において同じで、いずれもマネジメントであるとしています。

ポイント(2) 会社は人の性格に干渉してはいけない。

“雇用主たる組織の側には、人の性格をとやかくいう権利はない。雇用関係は特定の成果を要求する契約にすぎない。ほかのことは何も要求されない。仕事上の成果を要求する以上のいかなる試みも越権である。人格に対する不当かつ不法な侵害である。権力の濫用である。被用者は、忠誠、愛情、行動様式について何も要求されない。要求されるのは成果だけである”
「第33章 マネジメント教育 62頁」

このドラッカーの考え方はドライすぎるでしょうか?

仲の良い飲み会のメンバー同士でしか仕事の情報共有をしなかったり、「あの人は部署の大事な忘年会に欠席したから」と冷たい態度を取ったり、「仕事はできるかもしれないが生意気だ」と出る杭を打ったりする組織風土の方がはるかに息苦しいと思います。

ドラッカーは「人は働きだす頃には人格が形成されている。必要なことは人格を変えることではない。あるがままに、もてるものを使って成果をあげてもらうことである」とも述べています。こんな考え方の上司がいたら良いですね。

ポイント(3) 組織改革は手軽に行ってはならない。

ドラッカーは、大企業が組織構造を常に気にし、常に組織改革を行っている点を“組織病“と表現し、「組織改革はいわば手術であり、たとえ小さなものであっても危険を伴うもので、安易な組織改革は避けなければならない」としています。

くっつけたり、分割させたり、その度に部署名がコロコロ変わったりと、確かに日本の大企業は常に何かしら組織をいじくっていないと気が済まないような印象を受けます。

戦略や目標が変わる度に組織病が発症するのは組織構造の基本を疎かにしているからであり、設計上の仕様の問題があるとドラッカーは指摘しています。

感想

オススメ度 : ★★★★★★

本書のドラッカーの主張の中で大きな軸となっているのは“成果”という言葉です。

成果主義というと冷たい印象をもつ人が多いですが、人を性格面からみて気にいった・気に入らないで評価することの方がはるかに過酷です。なぜならば、性格は個性であり、善し悪しがないのにも関わらずそれを評価の対象とされてしまっているからです。

ドラッカーは「成人の性格は変わらない」と言及していますが、部下に「性格を直した方がいい」と発言することはその人の生き方を否定することです(性格とマナー・道徳は別物です。マナー・道徳には一定の基準があり、それに出来る限り従うべきですが、性格に基準などありません)。

生意気と言われようが、組織のために成果をあげ続けようとする人を部下に持つ方は本書を読んで部下の育成のありかたを考えさせられる本ではないかと思います。

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