デッサンでも写真でもない 魚の生を写し取る情熱“魚拓”の美世界

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大野龍太郎の魚拓美―色彩美術画集

◎魚拓って?

魚拓とは、簡単に言うと手型の魚バージョンである。
本物の魚に墨を付けて、紙に捺す。
よく釣り具屋さんに飾ってあるあの魚型の版が、記録としての元祖魚拓だ。

魚拓には、魚に墨を塗って紙に形取る直接法と、布などで形を取ってから色を付けていく間接法の二種類がある。
前者が本来の、データとしての魚拓だが、後者である筆者のカラー魚拓はもはやアート作品。
筆者の大野龍太郎氏は、独学で魚拓を打ち始め、どんどんハマって気づけば43年、魚拓工房まで開いたパイオニアだ。

魚だけにとどまらずタコやイカ、石から植物まで形あるものは何でも拓す(魚拓を作る)という大野氏。
大手釣り具メーカー、グローブライドの「ダイワ魚拓カレンダー」を毎年任されている敏腕っぷりである。

◎尾びれ、鱗、目の輝きまで再現

大野氏は、その魚の一番美しい姿を再現するために、納得のいくまで完璧なモデルを探す。
トビウオの完璧なモデルを手に入れるまで1年以上も掛けたというから驚きだ。
そこに居るかのような皮の光沢、鱗の斑点、透き通る尾びれの筋…

◎実寸大、魚を永久に復元する情熱

「魚拓にする魚を見たとき、自分の心に感じたままを素直に表現すること」
「その為に、焦らず自問自答しながら丁寧に時間をかけて拓すこと」
大野氏が魚を拓す際につねに心に留めていることである。

イセエビを描く時には、頭・胴・尾をすべて分解、それぞれ塩ビ板に固定し、棘を取った上で紙に写しとっていくという。
魚の生きた形をそのまま紙に写し取ろうとするその情熱は、観る者の心を揺さぶるものがある。
デッサンでも写真でもない、そこに“生き写し”が在るかのような熱のこもった作品たちは、
魚好きもそうでない人も一度開けば見惚れてしまうことだろう。

感想

「魚拓」と聞くと「釣った魚に墨塗って紙に押し付けたものでしょ」って思う人が多いだろう。しかし、これはなんと、「カラー」なのです。色がついた魚拓、そう「カラー魚拓」なんです。「それって絵と同じじゃないの?」と思われるかもしれませんが、魚に専用の紙をかぶせて、体や背びれ、尾びれを一つ一つなぞっていくにも技術が必要なのです。まさに生きている魚そのものです。

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