あなたは「福島の真実」を誤解しているのでは? 情報リテラシーを確かめる1冊【はじめての福島学】

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はじめての福島学

震災4年。福島では原発事故に対する正しい知識の蓄積が進むが、他地域ではいまだ陳腐な偏見やデマがはびこっている。その溝を埋めるべく、著者が福島の現況を冷静に整理する。

復興

復興は、必ずしも遅れてはいない

  • むしろ早すぎて問題が起こる場合がある。現場も知らずに「遅れている!」と騒いで、何か言った気になるだけなら邪魔

人口

福島から県外避難したのは、人口の2.3%に過ぎない

  • 「人口の数十%が県外に!」「人口流出が止まらない!」は大間違い。減少率は震災前の水準にほぼ回復

震災影響の少ない青森、秋田、山形の減少率が、実は震災直撃の福島と互角

  • 郡山市は人口増加に転じた。課題はむしろ農村部/地方中核都市の格差拡大と高齢化
  • 福島の人口問題は、いずれ迎えるはずだった課題が原発事故で早まっただけ。その解決策が、全国の人口減少対策のヒントに

農業

福島米の全量全袋検査。14年は1000万袋中、基準値超え「ゼロ」に

  • カリウム散布など、福島の農家が丹念に対策を実行した結果
  • 生産高は全国4位から7位に下がるも回復傾向

福島米の半数以上は県外の卸売業者が購入。ニーズに合わせ流通し続ける

  • 行政や農協による丁寧な情報発信も奏功

そもそも米は天然の放射性カリウムを含有。その量は、福島米の放射性セシウムより圧倒的に多い

  • だから「福島米を避ければ安全」とドヤ顔するのは無知の極み

チェルノブイリと同じ悲劇は、起きない

  • 崩壊直前のソ連と今の福島では、食料選択の豊富さや住民の知性、検査体制のレベルが違う
  • 安全派VS危険派の両論併記はやめよう。ありえない危険論はいいかげんに排除を

福島の農業問題を放射線だけに単純化するな。離農者増、産品の付加価値化など本来の課題を見逃してしまうから。

産業

漁業は、経営体の漁獲量では震災前の57%だが、水揚げ量ではまだ9%

  • 理由は、捕獲場所が同じでも水揚げが福島というだけで安値になる(=これが「風評被害」)

「福島は農林漁業や電力産業依存だから、産業が壊滅」は誤り

  • 一次産業従事者は7.6%、電力ガス等従事者0.8%と少数派

福島の製造業は震災で一時落ち込んだが…

  • 実は、リーマンショック時の落ち込みの方がひどかった!

観光客は震災前の85%まで回復。「福島なんか誰も行かない!」は事実に反する

  • 会津やスパリゾートハワイアンズは震災前より増

雇用・労働/家族・子ども/これからの福島

「福島の雇用は減少傾向」は誤解

  • 有効求人倍率は全国1位。工事関係や医療福祉が不足気味

福島で流産・中絶・奇形は増えていない。出生率は震災前を超えた

  • 離婚率は震災後むしろ減少。増えたのは子供の肥満やストレスによる虐待←デマで追い込むのは誰か

帰還困難区域の面積は、県全体の2.4%

  • 帰還か否かは簡単に決められなくて当然。判断保留のままで生活できるようなケアを

大事なことは…

①福島を語る際「放射能」など安直な枕詞を使わない
②原発事故による問題と、事故前から元々あった問題を混同しない
そうしないと、原発事故以外に原因がある問題を何でも原発・放射線のせいにしてしまい、処方箋を誤る
③正しい情報を封殺する、迷惑な言説(=例は以下)を取り除く

  • 福島は危険、県民は怯えていると勝手に決めつける
  • 福島で陳腐な悲劇を仕立てて酔う、憐れむ
  • 少数の話を聞いただけで、福島すべてを分かったように語る
  • 福島を脱原発、反被曝の聖地にしようとする  など
④福島支援なら「買う」「行く」「働く」

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