戦没者遺骨収集活動を行う キャスターと陸上自衛隊予備1等陸士という異色の経歴の著者のデビュー作!

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女子と愛国

本書は、戦後問題ジャーナリスト、日本文化チャンネル桜キャスターであり、陸上自衛隊予備1等陸士という異色の経歴を持つ著者の「愛国女子」の真実に迫るデビュー作である。
本書は冒頭から衝撃的な中学生の少女の言動をつまびらかに明らかにする。
彼女が16歳の時、著者が訪れた靖国通り前を練り歩く集団の中で、日本国旗を翳すその姿がひときわ目を引いたという。著者の取材により、この中学生の少女は授業中に挙手して「核兵器をつくることに国の予算を使いたい」と発言していたことが分かった。彼女の夢は女性航空自衛官になって国を護ることだ。それがこの今という時代を映す鏡なのか。
著者は愛国活動に目覚めた女子のきっかけは2002年の日韓W杯が転機だったのではないかとみる。頰に日の丸のペイントを施し、日本代表を応援していたあるサポーターは「あの時、生まれて初めて自分が日本人であることを意識しました。日本を応援したいという気持ちが芽生えたんです。」と語る。
小・中・高の歴史教科書で今ドキの子どもたちが学んでいる戦時中の日本兵の残虐性。読んだだけで吐き気を覚え、夏休みの里帰り中に「中国に戦争に行っていないよね?」と恐る恐る尋ねると、祖父が「日中戦争に行ったよ」と答えるのを聞いてから、祖父の顔をまともに見ることができなくなったと泣き出す少女。実は著者も似たような経験をしていたという。
著者は芸能界入りしていたが、移籍した事務所の倒産により、大学へ進学することになった。それまで学業と両立させながらしていた新聞配達員のバイトのお得意先で、著者はこの少女の悩みを聞くことになる。その後、縁あってライフワークとなる戦没日本兵遺骨収集活動へ参加。その事前の「全日本学生文化会議」による靖国神社での勉強会で戦時中に書いたという青年の遺書を読み、著者は愕然となる。「学校では鬼のように非道なことをしてきたと教えられてきた日本の兵士だが、遺書を読む限り両親を慕う普通の青年としか思えない。『私たちの屍をのりこえて立ち上がってくる子供たちや孫たち』とは、今を生きている私たちのことではないだろうか。」
さらに著者は遺骨収集派遣団の活動中に出会った生き残りの元日本兵に「死ぬことは怖くなかったんですか。戦闘ではどのようなお気持ちだったんですか」と質問をぶつけた。
意外にも返ってきた答えは、元兵士が銃撃戦になった時の記憶を辿り「あの時、親父やお袋をはじめとする全ての日本人が自分の背中の後ろにいるように感じたんだ。みんなを護るためにここで命を落とすのであれば、それはとても幸せな死に方だと思ったんだ。」というものだった。著者は大変な誤解をしていたと密かに泣いた。「兵士はアジアの人を殺しに行ったのではない。私たちを護るために行ったのだ。」と。
著者はその加害の裏に隠されていた思いを受け継ぎ、先人に報いようと予備自衛官に志願した。訓練に励み、30歳の時に正式に入隊。予備自衛官とは、普段は自身の仕事や学業をしながら、一方で自衛官として毎年五日間以上の訓練を受ける制度である。平成14年度から制度が変わり、一般公募の採用が始まった。試験に合格した者は予備自衛官補と呼ばれる訓練生期間に入る。語学や医療、IT、建築などの高い技術を持った技能組と、一般組に分かれている。採用年齢は一般組34歳未満。技能組は55歳まで受験可能だという。
「あの時私たちを護るために戦った先人の名誉を護ることが、これからの良い国を作っていくと信じていきたい」
著者は「祖父たちの戦争体験をお聞きする孫の会」「シベリア抑留の真実を学ぶ会」の代表も務めている。

女子と愛国

女子と愛国

  • 佐波 優子

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