安倍政権の「集団的自衛権」は不要! 憲法九条堅持で非武装自衛隊の「ジャパンCOIN」を

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日本人は人を殺しに行くのか 戦場からの集団的自衛権入門 (朝日新書)

 本書は、日本政府特別代表としてアフガニスタンの武装解除を指揮した「戦場」を知る自称「紛争屋」の著者が、2014年7月1日に安倍政権が閣議決定した集団的自衛権容認の何が問題なのかを分りやすく解説した入門書である。
 集団的自衛権とはそもそも何か。著者は「個別的自衛権」「集団的自衛権」「集団安全保障」の3つを差別化して理解することから始めるべきと説く。
 日本の集団的自衛権は「自国と密接な関係にある外国(米国)が攻撃を受けた場合に(自国に攻撃が及ぶかどうかは関係なく)武力を行使していい」という解釈になっていることが「米国の戦争に巻き込まれる」との危惧を日本人に抱かせている不安の種だと著者はみている。
 また「日本の報道では、集団的自衛権の行使容認にばかり焦点が当たっているが、安保法制懇の提言の中にはもう一つ『国連的措置であるPKOの活動の幅を、これまでも行なっていた後方支援活動から、海外での軍事的行動を含む本体業務にまで広げるべき』とのものも含まれていることを見逃してはならない。」と著者は指摘する。
 著者の持論ではこれまで日本は既に集団的自衛権を行使してきているという解釈だ。それを論じるため、著者は改めて米国主導の対テロ戦争の経緯を整理する。
 2003年のイラク戦争は国連安保理と、その他の国連加盟国を二分し、NATO加盟国をも二分した。「米国はイラクに侵攻する正当性はない」と判断した(英国以外の)諸外国の英断は真っ当なものであった。国連常任理事国ではフランスとロシア、中国が反対し、ドイツも反対に回った。米英によるイラク攻撃は完全なる国連憲章第7章違反だった。
 さらに米国が戦争の根拠とした「イラクが保有しているはずの大量破壊兵器の存在」はブッシュ政権の捏造だった上、サダム・フセインがアルカイダを支援していたという証拠も見つからず、国際法上禁じられている予防的先制攻撃によって始まった戦争だったということは今では周知の事実。
 その後、米軍を中心とした連合国暫定当局(CPA)が敷かれたが、国連安保理は、このCPAを承認。日本政府は陸上自衛隊のイラクのサマワへの派遣を「イラク特別措置法」により決定した。
 この「イラク特措法」で自衛隊が海外派遣されたことこそが「日本は既に集団的自衛権行使をしてきた」に該当する。発端はNATOが集団的自衛権を行使して開戦したアフガニスタン戦争の際、米英の「不朽の自由作戦」に対する給油協力支援として日本政府が自衛隊インド洋派遣を行なったことに始まる。憲法九条で違憲とされてきた集団的自衛権を特措法として法の網を搔い潜り、集団的自衛権を行使してきたのだと著者は持論を展開する。
その後の日本の政局では真っ当な政策評価は一切行なわれず、その後も2007年ネパールPKO派遣、2008年補給支援特措法成立、2008年スーダンPKO派遣、2009年海賊対処法成立などで、自衛隊の海外派遣が次々と行なわれてきた。
「軍事過失を想定しないで軍事組織を外に出すことが、国家としていかに無責任なことか。国連PKOにおいてもだ。『非戦闘地域』『後方支援』という現場には存在しない造語を受け入れてきた。アフガンとイラクに対し、日本がどんな損失を与えてきたか?同時に何がどれだけ役立ってきたかの総括の国民的議論を行なうべきだ。」その上で、著者は憲法九条堅持のまま非武装の自衛隊で「補完力」と相手の懐に入り込める「親和性」を前面に押し出した「ジャパンCOIN(対テロマニュアル)」を提案し、安倍政権の言う「集団的自衛権の行使」など一切不要だと斬り捨てている。

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