あの大阪二児餓死事件の真相が明らかに!!

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ルポ 虐待: 大阪二児置き去り死事件 (ちくま新書)

感想

平成20年、厚生労働省ではある数字を発表した。「42664」。一体これは何を示した数字だろうか?

実は、この数字、厚生労働調査で児童相談所が対応した児童虐待の件数である。また、そのうちネグレクト(児童虐待・障がい者虐待)は15905件で身体的虐待についで二番目に多いそうだ。

そんな一つの数字を示したうえで、本書の感想を書いてゆこうと思う。

2010年7月に報道された「大阪二児餓死事件」のルポである。当時3歳の女の子と1歳の男の子が大阪のマンションの一室で餓死したあの出来事は、報道各局が大きく取り上げた。

あの事件が起きてしまった要因を時代背景や関係者へのインタビューを通じてひとつひとつ紐解いてゆく内容となっている。

この事件は、僕にとって生涯忘れることができない事件のひとつでもある。それは、被告人である芽衣さん(仮名)を知っていたから。直接話すことがあったわけではないけど、同じ小・中学校に通っていたし(学年はちがう)、彼女の妹2人はぼくの学年の一つ上と一つ下だった。

それくらい僕にとってこの事件は身近なものだった。だからこの本を読んだとき、芽衣さんに対しての憤りや怒りのようなものを感じることはなかった。

社会問題を取り上げた本や事件のルポなどの本をいくつも読んだことはあるけど、被告人に対してマイナスな感情を持たなかったのは初めての経験であった。

芽衣さんが犯した罪は許されないけれど、「でもね、」と彼女を擁護してしまいたくなる気持ちが自分のなかにあった。

内容

本書は、全部で5つの章に別れている。第一章が、事件が起きる前後のダイジェスト。第二章が芽衣さんの父親の物語。第三章が高校時代について。第四章が離婚してからの芽衣さんについて。そして、第五章が「母なるものとは」と題されており、3人のシングルマザーに著者がインタビューした内容となっている。

個人的には、第五章をじっくりと読んでほしい。事件そのものからすこし離れるが、風俗で働く3人の女性がどのようにして子どもを育て、日々暮らしているのか?といったことが書かれている。「母」として生きること、そして女性一人で子どもを育てることの難しさを僕は感じた。

また、親から十分なケアを受けずに強い依存欲求を抱えて成長する女性たちは、自分自身を守れず、ネグレクトを引き起こす可能性が高まると筆者は言う。

【本文より】ー芽衣さんは男子に求められると、すぐに体の関係になった。時には、食事等の家出中の出費を性の相手から得ることもあった。援交のような体験も重ねている。ティーンエージャーが誰彼となく性関係を持つのは、愛情飢餓だ。私が出会ったある10代の少女は「性的な関係になったその時だけは、寂しさも忘れられる。」と口にした。彼女はそういう自分を深く恥じてもいた。


自分自身も守れず、したがって、我が子を守る力がない。さらに頼る者を周りに持たない若い女性たちは、過酷な体験に出合う可能性も高い。

もう二度とこんな悲しい出来事は起きてほしくないと思う。被告人の芽衣さんには、30年の懲役を課せられている。幼い子ども二人を死なせて刑期が少ないと感じる人もいれば、長いと感じる人もいるであろう。

あの事件のことで憤りを覚えた人にはぜひ読んでほしい一冊です。

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